幸せな結末 アジアカップ決勝戦で見えたアジアの未来の光
幸せな結末、アジア、そして日本の未来は?
2014年のワールドカップにおいてアジアから参加した日本、韓国、オーストラリア、イランが1勝も出来ずにブラジルを去ったのは記憶に新しい。世界の舞台で1勝も出来ずにいた日本代表の1次リーグでの試合を見て、思わず「日本が強いのか? アジアが弱いのか?」と嘆き、「アジアの憂鬱」という分析記事を書いた。
しかし決勝戦を見てほんの少しアジアの明るい未来の光を見た。
オーストラリアはワールドカップの結果を受け、なお国内リーグのトップチーム及び同国のU-20での監督経験を持つポステコグルー監督が継続して指揮を執っている。そしてオージーフットボールを印象付ける激しく大雑把なサッカーは影を潜め、洗練されてきている。
デルピエロ、小野伸二らファンタジスタのAリーグでのプレーは少しずつサッカーのイメージを変えていったはずだ。激しさに美しさが加わり始め、この大会での優勝という結果は間違いなくオーストラリアサッカーにとって正の循環をもたらすだろう。そして2018年のコンフェデレーションズカップ、そしてワールドカップと大陸をまたにかけた本気の勝負の機会はこれまでのサッカー未開の地の開拓のスピードを一気に上げるはずだ。
一方の韓国は55年ぶりの優勝とコンフェデレーションズカップの出場権を逃したが、アジアでの絶対的な優位性が少しずつなくなるような状況から一転して再度自信を深めたかもしれない。試合終了間際の同点ゴールは諦めない韓国らしさが戻ってきた証しであり、レバークーゼンでプレーするソン・フンミンという若いタレントの出現という側面も持っている。
ワールドカップでのアジア勢の敗退はアジア全体の問題だ。そこのレベルの底上げは国の威信を背負って切磋琢磨し合うしかない。オーストラリアをAFCの大会から排除する動きがあるのとの報道があった。しかしアジアにオーストラリアという新たな強豪国が生まれたことはむしろ喜ばしいことだと思えないだろうか。オーストラリアという高い壁を乗り越えない限り、世界大会の切符が得られないのであれば、そこを乗り越えるために努力すればいい。
本来日本が担うべきはずの役割は、すでにその手を離れた。しかし、それを取り戻すために考え、変えていくのであれば、今回の大会の結果は全ての関係者にとって幸せな結末だったに違いない。
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【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web
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