幸せな結末 アジアカップ決勝戦で見えたアジアの未来の光

データに表れた両国の戦術の変化

 

 次の表のスタッツを見ると決勝戦がどのような意味を持つ試合だったのかが分かる。

 ④決勝戦2

 

 オーストラリアのクロスの数の減少と韓国のクロスの数の増加は前に述べた通り、1次リーグでの戦いを経たそれぞれの改善の結果だ。

 その試合で韓国は勝つには勝ったが、7割近いポゼッション率で完全に受けに回った試合でもう一度勝てるかと言えば、その再現性は乏しいと判断したのだろう。守ってロングボールではなく、簡単に失わないボール回しも行った。

 パスの数は延長戦も含めると2倍近くまで増え、アタッキングサードへの侵入回数は前後半だけで50回から67回と34%増。ペナルティエリアへの侵入回数も12回から17回と40%以上増加している。一方、守備においては自陣で回させることは避け、ボール保持者へ厳しく奪いに行った。その結果、オーストラリアのパスの成功率を87.8%から77.5%まで落とし、自陣で78.4%の成功率で回されていたのが68.4%に、ディフェンシブサードでは83.2%から59%まで下げることが出来た。

 オーストラリアも1日短い休息時間にも関わらず、テンションを高めて対抗した。1次リーグから22%増の134回となったDuelsでは、勝率を前回の41.4%から50.9%と大幅に改善。五分五分の状況のチャンスが134回ある時、40%と50%では大きく違う。40%ではマイボールは54回だが、相手ボールは80回になる。その差は26回分が相手ボールになる。

 実はこのデータを改善するためにはいくつか必要なことがある。一つは当然だが、ルーズボールをマイボールにする選手とチームの強い気持ち、球際の強さ。つまり心身の問題だ。そして、そのボールの出どころに対する予測というインテリジェントな技術、どこにボールが落ちても拾えるように選手がコンパクトに配置されているという戦術が要求される。

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