幸せな結末 アジアカップ決勝戦で見えたアジアの未来の光

 

決勝で延長戦の末に韓国を破ったホスト国オーストラリア

 

 オーストラリアで開催されたアジアカップの決勝戦は1次リーグA組の最終戦と同じカードのオーストラリア対韓国戦となった。準決勝を終えてから決勝戦までの間が1日長く、1次リーグでも1-0で勝利を収めている韓国有利と見る向きもあった。しかし、この日シドニーのスタジアムを埋めた8万人超の「サッカー」ファンの前で、開催国オーストラリアが意地を見せる形で延長戦を2-1で制して初優勝を飾った。ホスト国としてアジアカップを制したことで、ラグビーやオーストラリアンフットボール人気の陰にあったサッカーが広大なオーストラリアの地に根付き始めることだろう。

 一方、敵地において最後の一滴の汗までも絞り出し切りながら120分を戦い抜いた若い韓国イレブンが手にしたものも十分な重さがあるはずだ。日本代表が本来得るべきベネフィットと失ったものの大きさについては様々な考察がなされるはずで、ここではこの2チームの戦いについてデータから振り返ってみたい。

①

 

 オーストラリアと韓国は1次リーグで対戦。オーストラリアは初戦クウェートに4-1、2戦目のオマーンに4-0で勝利し得失点プラス7で韓国戦を迎えた。一方韓国は初戦オマーンに1-0、2戦目クウェートにも1-0で勝利し得点こそ2点だったがいずれの試合も無失点だった。

 お互い2勝同士で決勝トーナメント進出は決まっていたものの次の3試合目の意味は非常に大きなものだった。1位通過することによって次の試合までの期間が1日長くなる点、その時点で日本の1次リーグ首位通過は確定していなかったものの、2位通過になった場合日本と同じブロックで決勝トーナメントを戦わなければならない。従って1位通過をかけたこの試合は決して消化試合ではなく非常に重要な試合だった。いわゆる“ガチ”の試合結果がこのスタッツだ。

 オーストラリアは引き分け以上、韓国は勝った場合のみ1位通過となる。そうしたそれぞれのチームにとって有利、不利の心理状況がDuels(50%対50%の状況の中でどちらのチームがボール奪ったかを示す)のデータに表れている。オーストラリアは35.6%の勝率に対して、韓国は64.4%だ。韓国にとって相手の若干のまったり感は最大のチャンスだった。前半32分、イ・ジョンヒョプの先制ゴールが決まる。何とか追いつこうとするオーストラリアの気持ちがプレーに反映され、シュート数、Duels、流れからのクロス数が後半から増え始めた。

 オーストラリアのイメージは大柄な選手と、大柄でなくても前線で非常に収まりの良いケーヒルを中心とした長いボール中心の若干、大雑把なサッカーをイメージする人もいるかもしれない。ところがこの大会における初戦のポゼッション率は59.4%、2戦目は69.6%、3戦目の韓国戦も67.2%だった。大会を通しても日本に次ぐ高いポゼッション率を誇っている。

 

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