浦和の“万能”サイド職人がハリルJ初参戦へ プロ入りも危ぶまれた苦労人は“周囲を輝かせる”
宇賀神を支えた平川やポンテらの助言
しかし宇賀神は、元からそうしたタイプの選手ではなく、同じ大卒で浦和で活躍してきたMF平川忠亮やブラジル人MFロブソン・ポンテなど、先輩たちからの助言が大きな力になったのだという。
「ずっとガムシャラにプレーする選手だったんですけど、ヒラさん(平川)やポンテ選手から学びました。ポンテ選手からは『いつでも一生懸命やるだけじゃないんだ。相手と駆け引きしながらプレーするんだ』と言われ続けて、駆け引きの大切さを学びました」
今では、頭脳派プレーヤーとして確固たる地位を獲得しているが、日本代表での戦いとなるとまた話は変わってくる。シンプルなフィジカル能力を武器とする相手との戦いもあれば、味方選手とのレギュラー争いも制さなくては出場できない。それでも、172センチと決して大柄ではない宇賀神には、これまでのキャリアで築き上げてきたものがある。相手との駆け引きのなかで、ファーストタッチの場所、視線、体の向きといった情報を頭に入れる。クロスへの対応にも、自分なりの方法論がある。
「相手が先に動き出すので、その動きの予測ですよね。チェックの動きを入れて、足元で受けるのか裏を取りに来るのか、常に相手のやりたいことがなんなのかを考えてやっている。背が高くないなりに、できることはある。相手につきすぎれば勝てないので、体もぶつけられるし、自分も飛べるという距離感が自分なりにある」
そして、味方に対する影響力も発揮してきた。原口が浦和でプレーしていた当時、守備時にとにかくボールを奪いに行ってしまう癖があったが、宇賀神はしつこくコースを消すことや前線が追い込んで後方の選手でボールを奪う守備の必要性を説き続けた。その左サイドコンビが、代表のピッチでも復活するかもしれない。