横浜F・マリノスを撃破して4位浮上 浦和レッズに見えた効果的な“動き”

欠かせない中盤のリスク管理

 後半に入ると、その“動き”は一層増した。柏木は「相手のプレスをかわせずにバタバタしてしまった」と反省点を挙げたが、最前線の李を裏へ走らせるパスを送り、セカンドボールを拾うことで全体の押し上げに成功。中盤の選手が前向きでプレーする機会が増加した。

「横、横だけでは相手の圧力を受けてしまうので、生きた縦パスを入れたかった。最悪はスローインでも良いし、セカンドを拾えればチャンスになる」と那須が言えば、李は「自分が前で頑張って走れば、みんなも頑張れると思った。それが自分の良さ」と言い、人とボールの動きが活性化した。

“動き”は守備でも効果的だった。先制につながるCKは、宇賀神のプレスから原口が30メートル以上もドリブルして獲得したもの。「もう少しやりかたったけど、足がつりかけていたから仕方ない」と85分に交代した原口が、再三のスライディングからチャンスにつなげたように、中盤の選手が果敢にプレスをかけることで、高い位置でボールを奪って素早く攻撃につなげた。

 途中交代で入った相手の斎藤学が、「先制されて引かれてしまった。裏への動き出しをしたかったけど、そのスペースがなかった」と口にしているから、決してバランスを崩して全員が前掛かりになっていたわけでない。5-4-1に近い守備陣形を維持しながら、前の5人が効果的に動いていた。

 安定して勝ち星を積み重ねていく上で、浦和に必要なのはリスク管理だ。「俺が前に行き過ぎたときはリスクもあった」と柏木が振り返るように、攻撃に人数を割いて奪われた後が若干もろい。第9節・柏レイソル戦の終了間際に喫した失点もそうだが、相手のカウンターを受けやすい面は否めない。

 そのためには、最終ラインはもちろん、中盤より前の選手が奪われた後の対策をしておく必要がある。横浜FM戦の43分に見せたプレーがキーになるだろう。柏木がドゥトラから、阿部が中村俊輔から、それぞれ奪い返して2次、3次攻撃につなげたシーンだ。高い位置から相手の攻撃の芽をつむことができれば、勝利の可能性はグッと高まってくる。

【了】

田口和生●文 text by Kazuo Taguchi

 

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