オーバーヘッド弾に豪快ミドル… 乱戦で輝いた浦和、清水両エースのプライド
「ハットトリックしても勝ち点3を取れないと…」
ある意味では、なす術のない試合展開にハマりかけていた時に、キャプテンの役目も担うエースは奮起した。「2点目を取られた時に大声を出しましたし、誰も諦めてなかった。1点入れば流れは変わると思った」というエースの一撃が、試合の流れを変えた。
後半19分、左サイドのペナルティーエリア角付近でボールを受けた鄭大世は、槙野智章と対峙した。利き足の右足をフェイントに使った駆け引きで槙野との距離を開けると、豪快な左足シュートを突き刺した。そして続く同24分にはストライカーらしく、ゴール前のこぼれ球を押し込んだ。
「(1点目の)シュートはまぐれですけど良かったですよね。GKもどうしようもないと思います。2点目はゴールの半分は運なので、ああいうポジションを取っていればこぼれてくることがシーズンに何回かはある。それが今日だったんじゃないかと」
さらに清水はFWチアゴ・アウベスが逆転弾を決めたが、そこで意地を見せたのは興梠だった。同29分、関根のラストパスを受けるとGKとの1対1を冷静に決めてハットトリックを達成。キャリア3度目、今季2度目の固め打ちは、リーグ12試合で11ゴールというハイペースでのゴール量産を実現した。
「真ん中で関根とワンツーで崩せて。1失点目が自分からだったので、取り返したかった。自分のイメージとしてはスルーした時に関根が打つかなと思ったけど、後ろにタッチしたので。でも、3点取れたのはいいことだと思いますけど、ハットトリックしても勝ち点3を取れなかったことの方が悔しいですね」
興梠はこう話し、チームが勝ち点3を逃したことに対して笑顔はなかった。