サー・アレックスが築いた勝利の掟が後継者モイーズを葬った皮肉

最後はサー・アレックスが折れ、モイーズは解任された

 しかしそれでも、戦力的には格下だったエバートンで健闘したという実績しかなかったモイーズが監督に就任したのは、絶対的な存在だったサー・アレックスが推薦したからに他ならない。

 どんなにひどい不振が続いても、今季のモイーズ監督が、「ファンの素晴らしいサポートがある」と言い続けることができたのは、マンチェスター・Uサポーターにとっては『神』というべき存在である、サー・アレックスの後ろ盾があってのことだった。

 4月25日付の英大衆紙ザ・サンがこんな記事を掲載している。見出しはずばりSir Alex tried to rescue Moyes(サー・アレックス、モイーズを救おうとした)というものだ。

 この記事によると、ファーガソン監督は最後の最後まで自分が推薦したモイーズを擁護したらしい。ところが、解任前日の21日に行われた経営陣のミーティングで完全に孤立。オーナーのグレーザー一家とファーガソン監督以外の経営陣が『解任すべし』という強い意思で固まっていたことで、最後はさすがのサー・アレックスも力尽き、解任を容認するしかなかったという。

 このストーリーは、モイーズ監督解任の最後の障害がファーガソン監督だったことを物語っている。つまり、ファーガソン監督が折れて、モイーズ監督解任が決定。サー・アレックスの発言権が弱まったことが、モイーズ解任の「真相」だったという、前回のコラムの内容を裏付ける話にもなっていると思う。

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