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サー・アレックスが築いた勝利の掟が後継者モイーズを葬った皮肉
まあ多少、そういった推測表現が多かったことは認めるが、しかし、これはニュースを伝える記事枠ではなく、筆者の観点を記すコラムである。前回のコラムの内容は、今回のモイーズ解任に関して流された様々な情報、そして香川真司移籍以来の2シーズンに渡り、密にマンチェスター・Uというクラブと接して得た僕自身のひとつの結論だった。
こうした観測は、大げさに聞こえるかも知れないが、歴史の真実を解き明かす作業とも似ていると思う。
事実というものは、実際にあったこと、それが表に出たことで、万人が観測できること。誰でも「それは確かにあった」と認められるものだ。
しかし真実というものは、そうした事実に人間が絡み、そこでどのような思いで何をしたかという、包括的なストーリーに発展したものではないだろうか。
様々な視点が発生し、歴史に決定的な真実というものを見いだすのは非常に難しい作業であるが、人間はそういった事実とそこで繰り広げられたドラマの断片をつむいで、ひとつの真相、真実に迫る努力をする生き物なんだろう。
まあそれはともかく、繰り返しになるが、前回のコラムはそういう僕個人の観点で書かれたものだ。英国生活19年でプレミアの取材を12年間行い、この間、ほとんど一日も休まず英各紙のサッカー欄と格闘した上で、生のファーガソン監督と接し、その圧倒的な存在感に触れた。その取材経験を踏まえて、偉大な先代がクラブ内での影響力を削がれたことで、モイーズ監督の解任が実現したと推測したわけだ。