逸材ドリブラーにスタジアムどよめき 圧倒的な突破力…J1練習参加で確信「通用する」

昌平高の長璃喜【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
昌平高の長璃喜【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

昌平高の長璃喜「ドリブルは通用すると感じましたが、守備の強度をもっと」

 プレミアリーグEAST第2節・流通経済大柏vs昌平の一戦。流通経済大柏の圧倒的な攻撃力の前に、昌平はシュート3本しか打てず、0-3の完敗を喫した。試合後、左サイドハーフの長璃喜は全身から悔しさを滲ませていた。

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「セカンドボールも全部拾われて完敗でした。僕自身もボールを触る回数があまりなかったので、意識的には守備の方を考えましたが……。本当に悔しいです」

 長といえば圧倒的な突破力が武器のドリブラー。瞬間的なキレは凄まじく、ピッチの上を跳ねるように駆け抜けていくドリブルと、ずば抜けたシュートスキルを持ち、1年時から何度もチームを救うスーパープレーを見せてきた。

 1年時の最大のインパクトは第102回の選手権だった。1回戦の奈良育英戦で途中出場から1ゴール。2回戦の米子北戦と3回戦の大津戦では途中出場から2試合連続の終了間際の起死回生の同点ゴールを叩き出し、ベスト8進出の立役者となった。

 昨年はプレミアEASTで6ゴールをマーク。そして全国優勝を成し遂げたインターハイ決勝の神村学園戦で「セカンドインパクト」を見せる。0-1で迎えた前半アディショナルタイムにMF山口豪太のクロスに飛び込んで同点弾を挙げると、再び突き放された直後の後半21分、見ている誰もが度胆を抜くゴールを披露した。

 左サイドのハーフウェーライン付近でボールを受けた長は、一気に加速を始めた。一直線ではなく、相手が寄せようにも寄せられない絶妙な間合いとコース取りであっという間にペナルティーエリア付近中央までボールを運んで行くと、思い切って右足を振り抜いた。放たれたシュートは弾丸ライナーでゴール左隅に突き刺さった。

 どよめきを見せるスタジアム。その余韻が収まらない3分後には左サイドでボールを受けると、ドリブルから鋭い切り返しを見せて相手を翻弄し、ゴール前へ正確なクロス。これが決勝弾につながり、2ゴール1アシストの大車輪の活躍で、チームを3-2の逆転勝利に導いた。

 そして今年、彼は最高学年となった。流通経済大柏戦では彼らしいキレのあるドリブルは随所に見せた。本人が言うようにボールを触る機会は少なかったが、ボールを持てば相手が飛び込めそうで飛び込めない間合いにピタリとボールを置き、アクションをしてきたら裏街道やフェイントで逆を突き、してこなかったらシンプルに縦に仕掛けるなど駆け引きの妙は光った。

「もう3年生になり、1、2年生の時は引っ張ってもらっていた側なので、自分たちが引っ張っていかないといけない。それに(昌平の下部組織にあたるジュニアユースチームの)ラヴィーダのときも僕らの代だけ全国に行けなかったので、今年は必ず全国に行きたいし、結果を残したい」

 昨年は怪我もあり、自分を出し切れたとは言えなかった。さらに昨年度の選手権埼玉県予選準々決勝で聖望学園にまさかの敗戦。「一瞬の隙が命取りになるし、決めきる時に決めきらないとこういう結果になると痛感した」と勝負の怖さも味わった。

「警戒される中で何ができるか。苦しい時に何ができるか。オフ・ザ・ボールの動きで相手を惑わすなど、やれることをもっと広げていきたいと思っています」

 ラスト1年にかける思いは強い。個人的にもJ1クラブの練習に参加し、大きな刺激を受けた。

「ドリブルは通用すると感じましたが、守備の強度をもっと上げていかないといけないと思いましたし、何より1回、1回の練習に対する姿勢はすごかった。ドリブルの面でもトラップの1つの明確な意志や置く場所、角度がまだ甘いと感じたので、そこは突き詰めていかないといけない。どんな時も常に次のシナリオを描きながらプレーできるようになりたいと思います」

 一昨年の冬、昨年の夏に見せたよりも大きなインパクトを残し、将来の道を切り開く。長璃喜はそのプレースタイルそのままに前に向かって疾走していく。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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