優勝監督を電撃解任「振り回された部分あった」 異例事態も…“女王”が見せた意地「やるしかない」

ベレーザとの一戦を引き分けに持ち込んだレッズレディース【写真提供:WEリーグ】
ベレーザとの一戦を引き分けに持ち込んだレッズレディース【写真提供:WEリーグ】

浦和Lは東京Vベレーザ戦で終了間際に追い付きドロー決着

 監督の電撃交代で揺れた女王は、最後の最後で意地を見せた。三菱重工浦和レッズレディースは4月16日のWEリーグ、優勝を占う大一番になった日テレ・東京ヴェルディベレーザ戦に試合終了間際のゴールで追いついて1-1の引き分けに持ち込んだ。

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 INAC神戸レオネッサが17試合を終え勝ち点39で首位に立つなか、勝ち点1差で追う2位ベレーザと勝ち点2差で追う3位浦和の直接対決になった。消化が1試合少ない両チームの勝敗次第で、負けたチームは自力優勝の可能性がなくなる大一番になった。特に浦和はベレーザとの勝ち点差が4になっての残り5試合は、3連覇がかなり厳しくなる瀬戸際だった。

 前半は浦和が主導権を握ったものの0-0で終えた。そして後半に入るとベレーザがボールを持つ時間が増え、後半39分に左サイドからのクロスにFW樋渡百花がニアサイドで合わせて先制点を挙げた。残り時間からも決勝ゴールになり得る一撃だった。しかし、ホームの浦和は攻撃の圧力を強め、表示のアディショナルタイム2分が迫ったところでDF遠藤優のラストパスをFW島田芽依がシュートを放つと、やや当たり損ねたシュートは逆に浮いてGKの頭上を越えてゴールに吸い込まれた。

 島田は「(時間が)長く感じたというか、自分自身、当たり損ねたので、『うわー』と思ったんですけど、うまく軌道的にも入ってくれたので良かったなと思います」とホッとした表情だった。

浦和は3月に監督の交代が行われた

 浦和は3月23日にAFC女子チャンピオンズリーグ(AWCL)の準々決勝で武漢江大にPK戦までもつれ込む激闘の末に敗退。すると3日後、浦和は楠瀬直木監督を解任して堀孝史監督が就任する電撃的な監督交代を発表した。楠瀬監督は昨季までリーグ2連覇の実績を残し、今年1月に決勝が行われた皇后杯でも優勝に導いていた。それだけに驚きの発表だったが、この試合は途中出場だったキャプテンのMF柴田華絵は「色々な外からの声があるのは分かっているし、みんなも振り回された部分もあったんですけど」としつつ、チームの現状は前向きだと話す。

「結局やらないといけないし、私たちは勝つためにやらないといけない。今、堀さんになったことで、『堀さんを信じてやるしかないよね』というのは選手内でも話してやっていて、それでゴチャゴチャする部分は選手の中にはないので、上手くやれているかなとは思います。だから、ポジティブにできているかなと。本当にやるしかないですから、『受け入れてやろうね』と。選手が前を向いてやっているので、それはこのチームの良さというか、強さかなと思います」

 後任となった堀監督は「クラブに要請を受けたなか、強化担当をやっていたのでクラブが今後レッズレディースをどう進めるかという話もしていた。優勝などの結果もあるけど、アカデミーも含めてこのような形で進めていくと。選手たちと関わるなかで、サッカーの部分も人間的にも素晴らしい。そういう意味でも、真摯に向き合ってやっていきたい」と話している。戦術的な変更もあり試合中にぎくしゃくする場面はまだ見られるが、それでもINAC、ベレーザとの直接対決を含む監督交代後の3試合を2勝1分で乗り切った。

 この引き分けによりベレーザとINACが勝ち点39で並び、ベレーザが得失点差で首位。浦和が勝ち点38の3位で追う大混戦になった。ラスト5試合の最終盤で、ベレーザはINACとの直接対決も残すだけに、浦和にも全勝すればチャンスは十分にある。柴田は「あの時間帯に失点して、見ている中で『終わったな』と思った方もいたと思うんですけど、最後の最後に追いつけたことが可能性を残せたかなと。本当についていたなと思います。私たちはもう勝つしかない」と、力を込めていた。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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