国内名門の苦悩「先輩たちの成果」 18歳逸材も心境告白「自分たちはまだ優勝できてない」

ベレーザの眞城美春【写真提供:WEリーグ】
ベレーザの眞城美春【写真提供:WEリーグ】

東京Vベレーザは浦和Lとドロー決着

 あと一歩で勝利を逃す悔やまれるラスト1分になった。日テレ・東京ヴェルディベレーザはWEリーグの優勝を占う大一番、4月16日の三菱重工浦和レッズレディース戦で試合終了間際までリードしていたものの、最後の最後で追いつかれて1-1の引き分けに終わった。

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 INAC神戸レオネッサが17試合を終え勝ち点39で首位に立つなか、勝ち点1差で追う2位ベレーザと勝ち点2差で追う3位浦和の直接対決になった。消化が1試合少ない両チームの勝敗次第で、負けたチームは自力優勝の可能性がなくなる大一番になった。

 前半は浦和が主導権を握ったものの0-0で終えた。そして後半に入るとベレーザがボールを持つ時間が増え、後半39分に左サイドからのクロスにFW樋渡百花がニアサイドで合わせて先制点を挙げた。残り時間からも決勝ゴールになり得る一撃だった。しかし、ホームの浦和は攻撃の圧力を強め、表示のアディショナルタイム2分が迫ったところでDF遠藤優のラストパスをFW島田芽依がシュートを放つと、ややあたり損ねたシュートは逆に浮いてGKの頭上を越えてゴールに吸い込まれた。

 これにより1-1で引き分け、ベレーザとINACが勝ち点39で並んだものの得失点差で首位。浦和が勝ち点38の3位で追う大混戦になった。

 土壇場で勝利を逃した松田岳夫監督は「あのような形で点を取れたのはプラスで、諦めない姿勢が実を結んだ。ただ、あと一歩で勝ち切れなかった部分には優勝経験のある浦和の強さを感じた。その一歩の物足りなさは、非常に大きな課題だと感じた」と悔しそうに話した。

なでしこ18歳の眞城美春「最後の甘さは出さないようにしたい」

 ベレーザといえば、日本女子サッカーの歴史の中で名選手を次々に排出して優勝も繰り返してきた名門なのは間違いなく、下部組織のメニーナから昇格してくる選手の質も高い。ただ、現在なでしこジャパンでプレーするような出身選手は次々に海外移籍し、現在のチームにいるのはそうした優勝経験をほとんど持たない若手が中心になっている。

 松田監督は「ベレーザというと色々なイメージを持っていただくと思う」として、「名門と呼ばれることや過去の優勝経験は先輩たちの成果。このメンバーは3年間で優勝できず、3位しかない。相手の勝手なイメージに浮かれることも、影響をされる意味もないと。若い選手が今の力をしっかり表現することは変わらない。周りがどう思っても、若い選手がどうやって新しいベレーザの形をどう作るか取り組んでいる段階だと思う」と話す。

 また、18歳にして先日なでしこジャパンに追加招集されたMF眞城美春は「先輩たちがすごく結果を残しているけど、自分たちはまだ優勝をできていなくて、そういうところで優勝を目指すうえでは若いとか関係なく最後の甘さは出さないようにしたい」と話す。

 ラスト5試合の最終盤で、ベレーザはINACとの直接対決も残す。眞城は「WEリーグでこういう戦いをするのが初めてで、優勝争いも初めて。すごく楽しみですし、INACに勝てば優勝が近づくと思うので絶対に勝ちたいですし、自分のいいプレーを出したいです」と、タイトルへの思いを語っていた。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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