浦和が改善した“ハイプレス”対応 2か月で一変…選手が得た手応え「オプション増えた」

浦和は京都に2-1で勝利
浦和レッズは4月16日のリーグ第20節の先行開催、京都サンガF.C.戦に2-1で勝利した。約2か月前に対戦した際はハイプレスに大苦戦したが、それとは大きく違うスムーズさを見せた。その要因を両試合にスタメン出場したMF安居海渡は「より中央を使えるようになったことで、つなぐオプションが増えた」と話した。
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このカードは2月22日の第2節に京都のホームゲームで対戦していた。安居とMF渡邊凌磨がダブルボランチを組んだゲームだったが、前半15分過ぎに渡邊が負傷交代を余儀なくされてMFサミュエル・グスタフソンがピッチに入った。その後のダブルボランチの構成は16日のスタメンと同じだったが、当時ピッチ上の浦和は京都のハイプレスにボールをつなげず、前線に向けてロングボールを蹴るしかない状態に終始した。相手のミスにより同点ゴールを決め1-1で引き分けたが、内容的にはかなり苦しいものだった。
しかし、2か月弱でのリターンマッチとなった埼玉スタジアムでのゲームは、京都のハイプレスを利して裏返すようなプレーが数多く見られた。中央でグスタフソンがプレーメーカーとしてボールを捌くだけでなく、右サイドで相手のプレスに対して安居がワンタッチパスでDF石原広教につないでかいくぐっていくパターンも数多く見られた。安居は「相手の6番の選手(MFジョアン・ペドロ)が自分に食いついたらヒロ(石原)のところが空いているという分析があった」と話す。
ただ、そうしたつなぎを最初から怖がっていたような2月の対戦とは違い、右センターバックに入るDFダニーロ・ボザも相手を背負っている安居に、それを分かっていてボールをつける場面が多くなった。安居が「(相手が)来ていてもつけていいよという感覚で、そこで自分が持って何かをするではなくワンタッチで展開しようと。そこからもう1回自分が受け直そうという意識だった。そういう形ではがせることも多かったと思う」と話したように、食いついてくる相手を嫌がるのではなく、その勢いを利用したプレーが増えた。
MF安居も手応え「より中央を使えるようになった」
そして、チームの2点目は石原がグスタフソンにつなぐと、グスタフソンは相手を引き付けてマークを背負っていた安居にパス。そこで安居もシンプルにリターンし、グスタフソンがMF渡邊凌磨に質の高いラストパスを通して渡邊のゴールにつながった。グスタフソンは「海渡と良い連携ができて、凌磨のポジションが素晴らしかったので彼の足元に送り、あとは彼が全てを成し遂げました」と笑ったが、「右サイドに人数をかけるところもプランでしたね。ゴールした時も右サイドに人数が多いところを見てもらえたと思います」とも話した。
13日のFC町田ゼルビア戦でもグスタフソンと安居のダブルボランチの前に、渡邊がトップ下でプレーするスタメン構成だった。全体的にロングボールの比重が高く、ボールを追いかけて押し上げていくような場面が多かった浦和だが、ここ2試合はチーム全体でボールと共に前進できている感がある。安居は「より中央を使えるようになったことで、蹴るだけでなくつなぐオプションが増えたのかなと思います。(ゴールシーンのように)真ん中で何かが作れればサイドに展開して時もフリーでやれることも出てくると思う」と、その変化について話した。
得点力不足に苦しんできた浦和だが、ここ2試合連続で2得点の複数得点をマークしている。そして、どちらのゲームでも最終的に中央を突破するところからゴールが生まれた。サイドアタッカーに質の高い選手を抱えているチームだけに、中央の質が上がることで相手にとってはより守りづらい攻撃を繰り出すチームになる。変則的な日程により短期間で同じ相手と対戦することで、改善された部分を感じやすいゲームにもなっていた。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)