開催都市すら未定…韓国で予定される“運命の舞台” 日本代表を狙うJ1上位の逸材たち【コラム】

7月7日から16日に開催される予定のE-1選手権、国内組中心と予想される
今年の日本代表の活動で、まだ具体的な日程が発表されていない5試合がある。そのうち2試合は9月のインターナショナルマッチウイークを利用して行われる親善試合2試合。そして残りの3試合は7月7日から16日に開催される(はずの)E-1選手権決勝大会だ。
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9月はアメリカでアメリカ戦、メキシコ戦が組まれるとの噂が流れている。一方で7月のE-1選手権決勝大会は韓国開催とされながらも、開催都市すら明らかになっていない。
かつて東アジアサッカー選手権、東アジアカップと呼ばれた大会は2016年に名称変更されている。前回大会は2022年。本来ならば2021年に中国で開催される予定だったが、新型コロナウイルスのため1年延期され、その後中国サッカー協会が開催返上したため、急きょ日本で開催された。
今回、開催国は決まっているのに準備が進んでいない理由は韓国側の問題だった。4月9日に韓国サッカー協会の新人事が発表されたことで事態は進展するはずだ。だが、ここまで準備が遅れてしまったせいで大会のプロモーションはまだ行われていない。そのため認知度は低いと言わざるを得ない。しかしその実、選手たちにとっては自分の運命を変える可能性がある大会なのだ。
森保一監督が日本代表を率いるようになった2018年以降開催されたE-1選手権は、2019年韓国大会と、2022年日本大会の2回。そのうち新型コロナウイルスが猛威を振るい始める直前の2019年に開催された大会では、五輪を睨んだメンバーを23人中13人入れるなど、本来なら翌年に開催されたはずの東京五輪を意識した選考となっていた。
一方で2022年のE-1選手権は、2022年カタールワールドカップ前ということで、本大会出場メンバー入りをかけた試合と位置づけられていた。そしてこのときのメンバーから、谷口彰悟、山根視来(ともに川崎)というそれまで日本代表によく召集されていた選手たちに加え、この大会のMVPだった相馬勇気(名古屋)、相馬とともに大会得点王になった町野修斗(湘南)が招集されている。
今年の大会は、2026年の北中米W杯の前に開催される最後のE-1選手権となる。これまでの森保監督の選考を見ていると、予選は大幅にメンバーを変更していない。W杯アジア最終(3次)予選に入って以来、森保監督が招集したニューフェイスが望月ヘンリー海輝(町田)、高井幸大(川崎)、大橋祐紀(ブラックバーン/イングランド)の3人だけなのだ。
ということは、E-1選手権ではこれまで招集されていなかったり、招集の機会が少なかったりした選手が呼ばれる可能性が高い。そしてE-1選手権のあとは、森保監督が「同じ経験をしていくこと」をチーム作りで重視していることを考えると、あまり選手の入れ替えはなさそうだ。だからこそ、多くの選手が試されるであろうE-1選手権のメンバーに入ることは重要となってくる。
今回のE-1選手権も国内組だけが招集されるのはほぼ間違いないだろう。さらに、国内組と言ってもE-1選手権が予定されている期間にJ2とJ3は試合日程が組まれていることを考えると、J1の選手だけが対象となるはずだ。
そのメンバーを現時点で予想してみると、すでにかなりの候補選手がいることが分かる。GKはワールドカップ予選での出番が少なかった大迫敬介(広島)と谷晃生(町田)が入ってくるだろう。
フィールドプレーヤーを順位表の上位チーム(第9節時点)から選ぶと、広島から中野就斗、荒木隼人、町田からは中山雄太、岡村大八、昌子源、相馬勇気、柏は原田亘、古賀太陽、久保藤次郎、小泉佳穂、熊坂光希、川崎からは三浦颯太、脇坂泰斗、高井、鹿島は安西幸輝、植田直通、関川郁万らは候補に入ってくるのではないか。
守備陣が多くなってしまったが、実際のところ現在の日本代表には多才な攻撃陣がいるので、守備の選手のほうが代表チームに残っていきやすいかもしれない。これから台頭してくる選手もいるはずだ。国内組だけでも激烈な競争が繰り広げられるだろう。
そして、森保監督はこんな選考をしないというのを分かっているのだが、このE-1選手権のメンバーに入ってくれないかと願っている選手がいる。宮市亮(横浜FM)だ。
2022年、E-1選手権で10年ぶりに日本代表のピッチに立ち、右膝前十字靭帯断裂で全治8か月の怪我を負った。10代から日本代表に選ばれた選手が最後に怪我で日本代表のピッチを去るのは悲しすぎる。現在は右SBとして新境地を開いている宮市が、代表のユニフォームに袖を通す姿をもう一度見たい。
(森雅史 / Masafumi Mori)

森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。