記者会見室に響いた歓喜の雄叫び…強敵撃破初ダービー 「実力は一番下」でも岡山が上位に食い込む訳

岡山が敵地で広島に完封勝利【写真:徳原隆元】
岡山が敵地で広島に完封勝利【写真:徳原隆元】

広島の猛攻を振り切って岡山が初“中国ダービー”で白星

 ファジアーノ岡山は4月12日、J1リーグ第10節でサンフレッチェ広島との史上初の“中国ダービー”に臨み、1-0で勝利を掴み取った。プライドが激突する一戦で強敵を撃破。初の連勝、初のアウェー白星。10戦を終えて、5勝を挙げて勝ち点17と快進撃を続けている。試合後、敵地エディオンピースウイングスタジアム広島の記者会見室まで選手たちの歓喜の声が響き渡るほど、意味があった1勝。大黒柱のMF江坂任は「J1の中では実力は一番下」としつつも「チームとして戦う部分が一番大事」と着実に自信を積み上げ“岡山らしさ”を発揮している今を分析した。

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 新たな伝統が幕を開けた。J1で中国地方のチームが激突。初の顔合わせとなる“中国ダービー”で先手を取ったのは敵地に乗り込んだ岡山だった。

 0-0で折り返した後半13分、2分前に投入されたばかりの18歳FW佐藤龍之介がFWルカオの突破からゴール前に走り込んでゴール。J1初得点から出場2試合連続での得点でリードを奪った。その後、広島の猛攻を浴びるも、同24分には決定機でGKスベンド・ブローダーセンのファインセーブ。最後まで体を張って全員で守り切って勝ち点3を掴み取った。江坂は勝利の余韻に浸ることなく、冷静に自チームの分析をした。

「広島はJリーグの中でも力があるチーム。そう言う相手にアウェーの地で勝てたのは本当に自信になる。試合前から勝ち点1を持ち帰るのではなく、勝ち点3を持ち帰るという強い意志を持って戦った。それで守り切れた。意思疎通がしっかりできた中でゲームを進めることができた」

 10戦を終えて、半分の5戦で勝利。開幕戦で京都サンガF.C.を倒した白星スタートから積んだ勝ち点は17。そこで戦い方のベースはできた。いい守備からいい攻撃に繋げる。ピッチに立つ11人が最後の最後まで身体を張って球際で負けない。相手に主導権を握られようが、ワンチャンスだろうが、仕留め切って勝利を重ねてきた。

「チームとして戦う部分が一番自分たちの中では大事。J1の中では実力はやっぱり一番下だと思うので、チームとして戦わないといけないというのは全員が理解している」

 試合後、敵地の記者会見室にまで歓喜の声が響き渡っていた。耐えて、耐えて掴んだダービーでの勝利。木山隆之監督は「広島がマンツーマンで来る前にボールを早くつけることができれば、前を向けるルカオや加わっていける江坂がいる。早くやろうと試合前から言っていた」と狙い通りの白星。「今日はモチベーションになった試合」と、J1で生き残っていく上で重要な自信をもたらした。

 ただ、ここからは更なる積み上げをしていかなければならない。江坂は「攻撃の部分でレベルアップしないと。それプラス自分たちの時間から点が取れるようになればもうちょっと怖いチームになれる」。暫定5位は上出来だろう。だが、本当の“岡山旋風”はここからだ。

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