後半AT被弾のFC東京「もう戦術じゃない」 7戦未勝利…元代表MFが訴える“必要なもの”

肩の怪我から復帰したMF遠藤渓太は後半25分から今季初出場
FC東京は4月11日のJ1リーグ第10節、国立競技場で柏レイソルと対戦して1-1のドローに終わった。試合終盤まで1-0とリードしていたが、後半アディショナルタイム(AT)の49分に同点ゴールを許し、勝ち点3を取りこぼした。この結果、直近7試合で3分け4敗となり、下位低迷が続く。
【PR】ABEMA de DAZN、日本代表選手の注目試合を毎節2試合無料生中継!
この試合では2月6日に右肩関節脱臼のケガを負って離脱していた元日本代表MF遠藤渓太が後半25分からピッチに立ち、今シーズン初めての出場を果たした。チームを勝利に導くことはできなかったが、後半34分には中盤でボールを奪い取り、約40メートルを駆け上がってフィニッシュに持ち込んだが、シュートを枠に飛ばすことはできなかった。まだ肩には不安が残る中、ロングカウンターを完結できる個の力を示した。
1点リードで投入された遠藤は、勝利に導くプレーが期待された。追加点を決めて試合を決定づけること、攻撃の時間を長くすることで相手に攻められる時間を減らすことだった。
「思ったよりも早い時間に(ピッチに)入ったので、もう1点獲るつもりはありましたし、(マルセロ・)ヒアンと自分だけで、正直、個の力だけで点を取れる自信はあったので、追加点を狙いつつ、試合を終わらせる役割も頭の中に残しながら、両方を考えながらやっていたつもりです」と、遠藤はピッチに立つ際に考えていたことを振り返った。
後半34分の場面でチームに2点目をもたらせていたら、理想的な復帰戦になっていただろう。「やっぱりああやって自分だけの力でチャンスを作りだせましたし、一刺し狙うっていうのは、どの展開でも選手は狙うことだと思う。もちろん守備のことを念頭に置きつつ、チャンスがあれば一刺しっていう感じでしたね」とフィニッシュまで持ち込めたことに手ごたえを感じつつも、「自分が復帰してチームの力になれればいいなと思っていましたが、肩のケガはすごく難しくて。自分自身『100%でプレーできているか?』って言われると、難しいところです。無理をすればやっぱり再脱臼するし、ほかの個所をケガをする。でも試合に出ている限りは全力でやらなきゃいけない。試合に出つつ、自分の肩のバランス、体のバランスを合わせていく。それが肩を脱臼した人間の宿命だと思うし、上手にサッカーをしたり、気を付けてプレーしないと、大したプレーじゃなくても脱臼することはあると思うので、なかなか難しい」ともどかしさを口にした。
追加点を挙げられなかったFC東京は、守り切れずに7試合未勝利となった。この悪い流れを変えるために必要なものを問われると、遠藤は「根性じゃないですか」と答えた。「よく『1試合で変わる』と言いますけど、今日みたいな試合をしていたら……。今後もこういう1-0で残り数分を迎えるっていう試合は絶対あると思う。もう根性じゃないですか、やっぱり。根性が足りないですよ。残り数分っていうのは、もう戦術じゃないような気がします。『誰かが決めてくれる』『誰かがクリアしてくれる』じゃダメなのかなと思いますね。攻撃も守備も、そういうメンタリティーを持った選手がいないとダメかなと思います」と、最後の局面で点を取りきる、ゴールを守りきるための強い気持ちの必要性を訴えた。
遠藤の言葉は決して耳障りのいいことばかりだけではない。それでも、チームのために必要なことを勇気をもって口にしている。「小さいことでも、自分が力になれるのであれば、やっぱり口うるさく言いたい。自分も余裕はないけれど、この結果と向き合いつつ、シーズンをすごしていきたい」と、自身の役割を全うしようとする背番号22は、苦しい今のチームにあって頼もしい存在だ。
(河合 拓 / Taku Kawai)