U-18世代で勃発した日本代表GK争い 194センチvs189センチ…「ライバルに負けない」

名古屋U-18の萩裕陽、G大阪ユースの荒木琉偉を「意識をしています」
いつの時代もライバルの存在が自分の力をより引き出してくれるもの。高円宮杯プレミアリーグWEST開幕戦・名古屋グランパスU-18vsガンバ大阪ユースの一戦で、一際気合十分の選手がいた。
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名古屋U-18のGK萩裕陽は189センチのサイズを誇り、鋭い反射神経と広範囲をカバーできるセービングを駆使し、U-15、U-17、U-18日本代表にも選出されている実力者だ。
彼がライバル視をするのはG大阪ユースのGK荒木琉偉。194センチのサイズと抜群のスキルを持った荒木は、同い年ではあるが今年2月のU20アジアカップに正GKとして出場し、今年9月にチリで開催されるU-20W杯出場権獲得に大きく貢献している。
「代表活動は1回被っただけなのですが、素晴らしいGKだと思ってかなりチェックしていますし、意識をしています」
この試合、萩はG大阪ユースの攻撃をシャットアウトし、1-0の勝利に導いた。後半、相手FWと完全な1対1となるが、「(相手に対して)直線的に行ったら、少しでもタイミングがずれると相手を倒してしまってPKになると思ったので、相手が先に触ることを想定して少し下がってから回り込むようにアプローチをしました」と振り返ったように、曲線的に動いて飛び込んだ。
その駆け引きは的中し、相手が触れた瞬間にボールを手でがっしりとストップ。この試合最大のピンチをビッグセーブで凌いだ。
しかし、試合後に話を聞くと、彼の口から出たのは反省の弁だった。
「やっぱり荒木選手は上の世代でやっているだけあって、いつでも安定したプレーを見せているなと感じました。今日の試合も自分は最初のほうはうまく行かずに、キックミスがあるとそれを引きずったりしていたので、そこを安定させないといけないと思いました。あと荒木選手はコーナーキックをそのままキャッチするのに、僕は1度弾いたので、2度目からはキャッチしにいくようにチャレンジしました。彼に一歩でも二歩でも近づけるような存在になりたいと思っています」
謙虚さの中にも負けたくない熱い思いがヒシヒシと伝わってきた。試合後には荒木とお互いの健闘を称え合う清々しい姿を見せるなど、最高のライバル関係を窺わせた。
その光景も素晴らしかったが、試合後の立ち振る舞いで印象に残ったのはもう1つあった。それは萩がユニフォーム姿のまま、コーナーフラッグやテクニカルエリアやアップエリアのグリッドなどを率先して片付けていたことだった。ほかの選手もやっていたが、彼の動きは機敏だった。
「昨年の途中まではそういうのをあまりやっていなくて……。監督からも『一流の選手になるためにはピッチ外から』と口すっぱく言われていましたが、正直、『誰かがやってくれているし、自分はいいか』と思っていました。でも、(昨年の8月にU-17日本)代表に行ってから、『ピッチ外で得られる信頼もある』と意識が一気に変わりました。今は自分が気づいたら行動に移すことを大事にしています」
こうした行動の変化も彼の視座を高め、よりライバルに対するリスペクトが深まり、自分を奮い立たせる大きな力になった要因だと言えよう。
「ゴール前は自分のテリトリーなので、そこは味方がミスをしても自分が止めるというマインドでやっています。この勝利に満足をしないで、GKとして、ライバルに負けないように取り組んでいきたいと思います」
189センチのガタイはより大きく見えた。切磋琢磨の業(わざ)を積んでいる萩のこれからが非常に楽しみだ。
(FOOTBALL ZONE編集部)