1年生でJクラブ練習参加…逸材に“目が釘付け” 「本当にショック」順風満帆からの悪夢

帝京長岡の和食陽向「ピッチ内外で引っ張っていかないといけない」
最初に強烈なインパクトを受けたのは昨年のインターハイだった。技巧派の選手が揃い、ショートパスとミドルパスを組み入れたサイド攻撃で中からも外からも崩せる帝京長岡において、トップ下に位置した1年生MF和食陽向に目が釘付けとなった。
【PR】北中米W杯まであと1年…最強・森保ジャパンの活躍をDAZNで見逃すな!
身長164センチと小柄だが、とにかくうまくて素早い。ボールを持ったら密集地帯であってもキュキュッと音が聞こえるようなターンとドリブルですり抜けて鋭いシュートや優しいラストパスを送り込む。
当時、最前線にはベガルタ仙台へ進み、今季早くもデビューを飾ったFW安野匠がいた。彼に多くの注目が集まっていたが、馬力とシュートセンスが抜群の彼を見ていると、必ずその背後や脇から和食が飛び込んでくる。
「周りはうまい選手ばかりなので、先輩たちの意図を消さないで、かつ自分の持ち味であるドリブルからのシュートが生かせるように考えながらプレーしました。安野さんと柳田(夢輝)さんの2トップはうまいし強いので、僕はサポートに行ったり、2人にマークが集中する分、空いたスペースを狙ったりしました」
この言葉どおり、セカンドボールの回収、前からのプレス、そしてボールを持った時のキレとアイデア。2トップの背後からゴール前、サイドにと自由に、かつ賢く駆け回る彼は、間違いなく真夏の福島を彩った選手の1人となった。
このインターハイでベスト4進出に大きく貢献すると、プレミアリーグWESTにおいても20試合に出場し、2ゴールをマーク。チーム初のプレミアリーグで残留を果たす立役者になるなど、その存在感は絶大だった。
しかし、選手権予選で悪夢は待っていた。新潟県予選準決勝の新潟明訓戦では思うように点が奪えず、スコアレスで迎えた後半アディショナルタイムに痛恨の決勝弾を浴びて、選手権出場は叶わなかった。
「自信があったのにああいう形で負けたのは本当にショックでした。憧れの舞台に立てなかった悔しさが物凄くありました」
3月の船橋招待において、彼はあの敗戦をこう回顧した。兵庫県出身の彼は先ほど言及した2学年上の柳田が同じFCフレスカ神戸ジュニアユースから帝京長岡に進学したのを見て、「帝京長岡のサッカーに興味を持った」という。
「見れば見るほど、ボールを主体的に動かしていく攻撃的なサッカーに魅力を感じましたし、選手権という大舞台を目指すのもいいなと思うようになりました」と、後を追いかけるように新潟にやってきた。選手権予選まで順風満帆に来ていたが、目標としていた舞台を逃したことで、彼の中でこみ上げて来るものがあった。
「1年で多くの経験をさせてもらっている分、今年は絶対に去年の安野さんや柳田さんのようにチームの先頭に立って、ピッチ内外で引っ張っていかないといけないと強く思いました」
2月には早くもJクラブの練習にも参加。そこでフィジカル面の必要性も感じた彼は、「サイズはないですが、鍛えるべきところを鍛えれば持ち味を出せる」と自分の身体とも真摯に向き合っている。
「プレミアリーグはお手本になる選手がたくさんいますし、守備のうまい選手もたくさんいる。その中でいかに怖がらずにボールを受けて、判断して相手を剥がす、崩す、決めきることを意識していきたいと思っています。コースを消された時にどうするか、消されないようにどうするか。今年はより考えてポジションをとったり、オフの動きをしたりして、プレーの幅を広げていきたいと思います」
2年生だからという甘えや遠慮は一切ない。攻撃に違いを見せられる選手として、彼は「北信越の技巧派集団」の先頭に立つ。
(FOOTBALL ZONE編集部)