Jユース昇格失敗も…186㎝大型FWの「人生を変えた大会」 元代表MFの指導を受け目指す進化

京都橘の伊藤湊太【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
京都橘の伊藤湊太【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

京都橘の伊藤湊太「プロのパススピードにもついていくことができたのは自信」

 昨年度の選手権開幕戦のたった1試合で心身ともに大きな成長をした京都橘のGK平誠都のコラムを描いたが、もう1人、この試合で大きく人生が変わった選手がいた。

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 185センチの大型2年生ストライカーとしてスタメン出場をしたFW伊藤湊太は、帝京戦でゴールこそ決められなかったが、ずば抜けた身体能力を駆使して、前線でボールを収めたり、スピードに乗ったドリブルを仕掛けたり、ダイナミックなプレーを見せた。

 さらにスペースへのタイミングの良いランニングも披露し、この試合最多の5本のシュートを放ち、決めきれなかったが、あわやのシーンも作り出した。その存在感は絶大で、国立に詰めかけた観衆に大きなインパクトを与えた。たった1試合で彼の選手権は終わってしまったが、本人が驚いたのは「その後」だった。

 大会後にU-17日本高校選抜候補に選出。「正直、自分が選ばれると思っていなかったのでびっくりしました。でも自分の良さをしっかりと発揮したい」と、持ち前のゴールに対する多彩なアプローチを見せると、評価はさらに高まりを見せ、J1とJ2の2つのクラブから練習参加の打診があり、初めてプロの世界を経験した。

「最初は緊張してしまったのですが、周りの選手のパスがかなり正確でタイミングも素晴らしかったので、自分のスピードやスペースに入るプレーなど思うようなプレーができました。プロのパススピードにもついていくことができたのは大きな自信になりました」

 そして3月中旬のJヴィレッジカップでは、初代表となるU-18日本代表にも選出されるなど、瞬く間に取り巻く環境が激変して行ったが、彼は戸惑いながらも高い順応性を見せ続けた。

「代表で学んだことはオフ・ザ・ボールの動きや、シンプルに『点にこだわる』というメンタリティーを学びました。(ロールモデルコーチを務めた)松井大輔さんからゴール前の動きだったり、自分がボールが受けやすくなる動きだったりを学びました。それまでも自分なりに考えてやっていましたが、より上のレベルを知ることができました」

 船橋招待でも彼を見に多くのスカウトが会場に足を運んでいた事実などを鑑みても、一気に世代を代表するストライカーに成長を遂げた伊藤だが、中学時代はガンバ大阪門真ジュニアユースでプレーするもユース昇格ができなかった過去を持つ。

「中学の時はサイドハーフをやっていて、ドリブルでチャンスメークをしていました。上がれないと聞いた時は悔しかったですが、高体連に行ってもう一度自分を成長させようと思いました。橘を選んだのは自宅から練習場も学校も自転車で通えるのと、当時、高校選抜の監督を米澤(一成)監督がやっていたので、『この監督の指導を受けたい』と思って決めました」

 サイドハーフとしてより成長するために京都橘の門を叩いたが、中学3年間で20センチも身長が伸び、180センチとなっていたこともあり、一時期はCBとしてプレー。昨年の夏からFWとしてプレーするようになった。

「FWをやるとなったので、いろんなFWのプレー集を見て勉強するなど、やれることを精一杯やっています」とサラリと口にするが、やはり彼の順応性、吸収力は凄まじいものがあると感じられるキャリアだ。

 今、身長はさらに伸び、186センチになった。「人生を変えた大会でした」と、選手権をターニングポイントにした大型ストライカーは、スポンジのような吸収力と共にさらなる注目を浴びる1年をスタートさせた。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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