劇的弾の日本代表から…18歳後輩へ「成長して」 先輩なりの気遣い「記事にしてもらえれば」

後半ATに劇的ゴールを決めた高井幸大【写真:Noriko NAGANO】
後半ATに劇的ゴールを決めた高井幸大【写真:Noriko NAGANO】

高井幸大がプロデビューの土屋櫂大に期待

 川崎フロンターレは4月9日に行われたJ1リーグ第5節延期分で横浜F・マリノスと対戦し、3-3で引き分けた。試合終盤まで2-1とリードをしていた川崎だったが、試合終了間際に2失点を喫して2-3と逆転される。それでも後半アディショナルタイム10分、日本代表DF高井幸大がCKから劇的な同点ゴールを決めて3-3の引き分けに持ち込んだ。

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 キックオフ時、20歳の若きセンターバック(CB)はキャプテンマークを巻いてピッチに立っていた。「そこまで特別な感情はなかった」と言う高井だが、キャプテンマークは自分から付けるといったのではなかった。「そういえば(先発に)副キャプテンもいないな」と思っていたところ、試合前のロッカールームの高井の席に「置いてありました」という。チームからの期待も「少なからず感じ」てピッチに立った。

 その期待に応えるように、中2日で先発9人を入れ替えたチームのなかで高井は奮闘する。最終ラインで相手の攻撃を食い止めるとともに、正確なフィードも随所に見せた。後半からは試合の流れを一変させたMF脇坂泰斗にキャプテンマークを返したが、力強くチームを支えた。

 そして1点ビハインドとなった後半AT10分、「今シーズンは点を取りたい」と語っていたDFが、開幕戦以来のゴールを決める。川崎は右CKを得ると脇坂がCKのキッカーを務める。ゴール前に入れたボールに対し、反応したのが高井だった。エリア内で高い打点でヘディングを放ち、起死回生の同点ゴールを決めてみせた。

 この日のマッチデープログラムにインタビューも掲載されていた若きDFは「ダービーだったし、負けたくなかった」と言い、「本当に点を取らなきゃいけない状況だった。点を取れて良かった」と、安堵の表情を見せた。

 点を取らなきゃいけない。そう思うにはもう1つ理由があった。後半43分、最終ラインでコンビを組んでいたDFセサル・アイダルが負傷して、DF土屋櫂大が抜擢された。しかし、土屋はFW植中朝日のマークにつけきれなかったこともあり、チームは短時間で2失点を喫して逆転を許していたのだ。

 失いかけた勝ち点を取り戻すためのゴールを決めた高井は「最初からすべてがうまくいくわけではない。彼も素晴らしい選手なので成長してほしい」と言い、「そういう言葉を直接かける?」という問いには「言いませんけど、記事にしてもらえれば」と笑った。最後には「この勝ち点1が最後に大きなプラス1になればいいかなと思います」と締めくくった背番号2は、こうした試合を積み重ねていき、さらに風格を増していくはずだ。

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