元日本代表、第2の人生「合わなかったら辞めよう」 引退から1年…忘れぬオシムの言葉

千葉U-12コーチの工藤浩平氏【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
千葉U-12コーチの工藤浩平氏【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

ジェフ千葉U-12コーチの工藤浩平氏、若き日にオシム監督から薫陶を受けた

 静岡県御殿場市で3月27日から5日間、ジュニア年代の国際大会「コパ・トレーロス2025」が開催された。国内強豪のほか海外クラブも招待され、U-12とU-11の部それぞれ40チームが参加。“オシムチルドレン”としてジェフユナイテッド千葉などでプレーした工藤浩平氏も、千葉U-12のコーチとして参戦した。

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 千葉ユースから2003年にトップチームに昇格した工藤氏。駆け出しの頃にイビチャ・オシム監督の薫陶を受け、退任後の2007年にレギュラーを掴むと、2008年に岡田武史監督の日本代表に選出された。京都サンガF.C.、サンフレッチェ広島、松本山雅FC、千葉、栃木シティと移籍し、2023年限りで現役引退した。

 アカデミー指導者として第2の人生を歩み始めてちょうど1年。「生活リズムはだいぶ変わったので、1年かかって慣れてきたところと、まだまだ慣れないところもあります」と笑顔を見せる。「最初の頃は休めると思っていたんですけど、それが続くと身体を動かしていないのが気持ち悪くなってきます」と言う。

「元々は指導者になろうとは思っていませんでした。2回目に千葉に戻ってきたときに、ちょっと興味を持ちはじめたというか。1年やってみて指導者が自分に合わなかったら辞めようと思っていました。今はやりがいを感じますし、プレーヤーではないですけど、自分がまだまだサッカー好きだなと感じます」

 現役時代には視野の広さを生かし、インテリジェンスあふれるパスでスタジアムを沸かせた工藤氏。「子供たちは自分が現役のときとか、もう本当に知らない世代なので……」で苦笑いするが、「自分のプレーを見せられるのはアドバンテージなので、そういうところを見て学んで真似してほしいですね」と話す。

 チームがどんなに苦しい状況でも、常に明るくピッチを駆け回ってきた。指導者になってもモットーは、「どの年代を見るにしても、まずは自分が楽しむということ」。子供たちにも壁を作らず等身大で接し、「どの年代に対しても、自分のそういうサッカー観とかが伝わればいいなと思います」と思いを語る。

 今でもオシム氏の言葉を思い出す。「オシムさんに『サッカーはサーカスじゃない』と言われたこともあります。ただ、逆に自分は背が低くて人より身体も強くないですけど、『それなら敵に当たらなきゃいいんだよ』とアドバイスをもらって。それで20年近くも選手として現役でやれました」と感謝は尽きない。

 オシム氏のあとにも、大木武氏、反町康治氏と多くの指揮官から指導を受けてきたサッカー人生。「自分が教わってきたこと、いいなと思ったことを伝えていきたい。ありがたいことに指導者としても人間としても、いろんなタイプの方にお世話になりました」。名将の教えは、次の世代へと受け継がれていく。

(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)

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