兄は2人とも全国制覇→プロ入り…青森山田2年の184cm逸材「僕も」 注ぎ込まれる愛情

三國家の3男であるケースマンエブス、青森山田2年生となり高卒プロ目指す
兄は青森山田で2度の全国制覇を経験している。2人の勇姿を見てきた弟も当然のように青森山田の門を叩いた。三國家の3男である三國ケースマンエブスは今、高校2年生になり、184センチのサイズとスピードを併せ持つディフェンダーとしてレギュラー争いに絡んでいる。
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長男である三國スティビアエブス(現・アルビレックス新潟シンガポール)は、ケースマンが小学2年生の時に、第95回全国高校サッカー選手権大会で青森山田の初優勝を成し遂げた。次男である三國ケネディエブス(現・名古屋グランパス)はその2年後の選手権で2度目の全国制覇を成し遂げている。
いずれも埼玉スタジアムで兄の勇姿を目の当たりにしてきたケースマンは、2人と同じように中学から青森に渡った。
「最初は正直、家から近いFC東京U-15むさしに行こうかなと思っていたのですが、家族と話し合った時に、サッカーだけではなく人として成長するなら青森山田だと思って、兄と同じ道を進むことになりました」
2人の兄と同様に青森山田中から寮生活をスタートさせた。
「最初は挨拶などの礼儀、プレー面では球際やハードワークを絶対にサボってはいけない環境にかなり戸惑いました。でも、徐々に『兄たちもここで成長していったんだ』と思うと『僕も』という気持ちが強くなりました」
覚悟を決めた彼はサイズと足元の技術を武器に右サイドハーフ、ボランチとして中学3年間プレーし、高校に進学するとボランチ、サイドバック、センターバックの複数のポジションで鍛えられている。
高校2年生になる今年は、東北新人サッカー大会で途中出場を果たし、3月に行われた兵庫プレミアカップではプレミアWESTの優勝候補であるヴィッセル神戸U-18との一戦において右サイドバックでスタメン出場。高い身体能力と対人の強さ、クロスの精度などを見せた。
「(ヴィッセルは)ボールを持った時の動きのレベルが違った。青森に戻ったらもっと意識を高く持ってやりたいです」
今、彼は2人の兄から力強いサポートを受けている。ケネディには金銭面でのサポートを、スティビアにはサッカー面で「個別分析官」になってもらっている。
「スパイクなどの道具はケネが一生懸命サッカーをしてくれている上でもらっているので、感謝の気持ちを込めて大事に履くようにしています。スッチー(スティビア)には自分のプレー動画を送って、毎回ズームを使って、動画を停止しながら『ここはこうしたほうがいい』など、細かいアドバイスをもらっています。
スッチーに言われている『守備時のボールを持っていない時の動きが足りない』という指摘は、正木(昌宣)監督にも言われていること。ヴィッセル戦でも『ボールを持っていない時のクオリティーをもっと上げていかないとプレミアではできない』と言われたので、もっと本気で改善していかないといけないと思っています」
ケースマンの持ち味は吸収力にある。周りからの指摘にはしっかりと耳を傾け、解釈をして、自分のプレーに取り入れようとする姿勢があるからこそ、正木監督も彼のポテンシャルを高く評価しているし、2人の兄も愛情を注ぎ込んでいる。
「僕は言われたら落ち込むのではなく、前向きに捉えてやっていきたいんです。自分にとって必要なものだとして受け止めたい。悔しい思いを何度もして、本当に強くなりたいんです」
今年は青森山田でのレギュラー獲得のための戦いとともに、兄としての責務も生まれる。青森山田中の新1年生として、末弟の三國デスモンドエブスが入学してくる。
「いろいろと面倒を見てあげないといけないので、僕も兄としての自覚を持って、見本になれるように行動したいと思っています」
目標は高卒プロ。家族の強い絆の中で信念と感謝を持ってサッカーに打ち込むケースマンは、未来をしっかりと見据えて力強く走り出している。
(FOOTBALL ZONE編集部)