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世界中から絶賛の超絶トラップ弾「でも…」 三笘薫の転機となった“空白の3か月”【インタビュー】

月間最優秀ゴールも「理想はもっと近くまで行きたかった」
イングランド・プレミアリーグのブライトンに所属する日本代表MF三笘薫が、「FOOTBALL ZONE」のインタビューに応じた。世界から絶賛されたチェルシー戦の超絶トラップ弾、そして「今まではできないゴール」まで。転機は“空白の3か月”にあった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎/全4回の2回目)
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「MITOMA」の名前が世界を駆け巡った。2月14日、プレミアリーグ第25節のチェルシー戦。前半27分、GKバルト・フェルブルッヘンからのロングボールが、前線に走り込んでいた三笘の足元へ。真後ろから来たボールを右足の甲で吸い付くようにトラップすると、すぐさま2タッチ目、3タッチ目で右に持ち出し、DFをずらして、4タッチ目で右足インサイドで巻いたシュート。ゴール右隅へと吸い込まれるまで、一分の無駄もない美しいプレーだった。
「ロングボールが来た時はどこにボールが落ちるか分からなかったので、とりあえずボールの方に走って、全速力で走った時にボールが真上にあったので、トラップできるなっていうところを思っていて。トラップした瞬間にうまくいったので、その後は相手の位置関係は走りながら分かっていたので、どこに次プレーするべきかっていうところは分かっていて、うまく2タッチ目、3タッチ目ができたので、シュートの局面に持っていけたことは大きかったです」
この“芸術品”のようなゴールは世界中から称賛された。元イングランド代表のレジェンド、FWアラン・シアラーも「タッチは信じられないほどに素晴らしかった」と激賞。リーグから2月の月間最優秀ゴールにも選ばれた。「でも……」。本人の“理想”はもっと高いところを見つめていた。
「4タッチ目をすると、たぶん相手に追いつかれるようなシーンだったと思います。理想はもっと近くまで行ってゴール決めることができればよかったですけどね。でも少ないタッチでゴールまで結び付けられることができたので良かったと思います」

プロ入り後、最も大きな怪我が転機
もう一つ、今までにはないゴールがあった。チェルシー戦の翌週、サウサンプトン戦の後半26分。最後尾のDFアダム・ウェブスターがセンターサークル付近のFWジョアン・ペドロに縦パスを送る。この瞬間、中盤にいた三笘は急加速。ペドロの落としを受けると、DF2人を一気に振り切る。そのままスピードを落とさずにあっという間にゴール前まで到達すると、最後は余裕を持ってGKの肩口を抜くループシュートでネットを揺らした。
まるでリバプールFWモハメド・サラーを彷彿とさせるようなゴール。この得点の凄さは2つ。サイドではなく、今季意識している中央のレーンをぶち抜いたこと。そして2つ目は、70分を過ぎても驚異的な加速力を見せたことだ。
「フィジカル的な能力が上がってこないとできないプレーだったと思います。継続的にやっていかないとあのプレーはできないですし、もちろんサラー選手も含めて、色んなことができるためにも、フィジカル的な能力が高くないとできない。今までは、特に1年目はそこまでなかったですし、あの時は周りの選手にも助けられていた。今は歳も27になって、他の選手の構成も変わって、本当にいろんな面で自分もやらないといけない。他の選手もサポートしていかないといけない中で、色んなことができないと試合に出られない立場にはなっています」
昨年の今頃、三笘の姿はピッチになかった。2月18日のシェフィールド・ユナイテッド戦で、元々抱えていた腰の怪我を悪化。思いの外、状態は重く、そのままシーズンを終えることになった。ボールを蹴り始めたのはシーズン終了後の5月末。今までのキャリアの中で最も試合から離れた期間だった。だが苦しいはずの“空白の3か月”が転機となった。
「あの怪我で色んな気づきもあって、それが今シーズンに間違いなく出ています。特に身体作りの部分で、方向性を修正できました。それは僕自身にしか分からないことですけど、本当に色んなことを見つめ直して、弱点を理解してトレーニングをして。結果的に見れば、いい期間だったなと間違いなく思います。その時は、(足首の怪我から)復帰して途中で行けるかなってところでまたシーズンダメになったんで、苦しいところもありましたけど。でも逆にもう次のシーズンどれだけできるかっていうところに切り替えられたなと思います」
今季のリーグ戦はここまで全31試合に出場(途中出場が3試合)。チームでは唯一、三笘だけだ。しかも9、10、11月、そして今回の3月と長距離移動を伴う代表活動にも参加した上で継続できていることが、その価値を高めている。
「そこは僕自身、1シーズンも全ての試合に出場するということをできていないので、今シーズンは目標にしています。小さな怪我や難しいところもありましたけど、試合に出続ける準備をするのは、他に依存しない自分にできることなので。試合に出られない苦しさも味わいましたし、やっぱりサッカー選手は試合に出てナンボだと思うんで」
どんな時も自分に矢印を向けて、すべてを成長につなげてきた三笘。今年の活躍は必然だった。