久保建英の最適な移籍先…レアル番記者3人の見解は? 契約解除金96億円も「合意の可能性はある」【現地発コラム】

久保建英の去就についてレアル番記者が言及【写真:IMAGO / Ricardo Larreina Amador】
久保建英の去就についてレアル番記者が言及【写真:IMAGO / Ricardo Larreina Amador】

去就話が持ち上がる久保建英、古巣レアル・マドリードの番記者3人が来季に言及

 今季終了まで2か月を切り、レアル・ソシエダでの3シーズン目が終わりに近づく久保建英の去就が再び気になる時期がやってきた。

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 久保は昨年2月にソシエダとの契約を2029年6月30日まで2年間延長し、契約解除金は6000万ユーロ(約96億円)に設定されている。その状況下、久保の移籍先候補として、リバプール、アーセナル、アトレティコ・マドリードなどが最近挙がっているが、その情報源は信ぴょう性の疑わしいウェブメディアであり、スペインの大手メディアから具体的な情報は出ていない。

 今回は取材でいつもサンティアゴ・ベルナベウを訪れているレアル・マドリードの番記者3人に久保の来季去就について言及してもらった。はっきりしているのは、どの記者も前述の報道について詳細は知らないということだ。

 スペインの大手デジタル紙「OKディアリオ」のイバン・マルティン記者は久保の来季去就をどのように考えているのだろうか。

「久保に必要なのはコンスタントに試合に出ることなので、チームの中心になっているラ・レアルでプレーを続けることが、自身の成長にとって良いことかもしれない。でも彼には来季、おそらくいくつもの選択肢があるだろう。その中で私は、もしラ・レアル(レアル・ソシエダの愛称)を離れるとしたらUEFAチャンピオンズリーグに出場できるプレミアリーグのクラブに移籍する可能性があると思っている」

「例えばアーセナルも久保に良いものを与えてくれると思う。あのチームは今、若い選手たちを特に重用しているチームなので、彼がさらなる飛躍を遂げるためにいい場所となるはずだ」

 久保の移籍には高額な契約解除金が障害になり得るが、イバン・マルティン記者は大した問題ではないと見ている。

「ラ・リーガで十分な実績を残している久保が移籍市場に出る場合、それが法外な金額だとは思わない。実際にオファーがあった場合、ラ・レアルが交渉に応じる可能性はあると思うし、5000万ユーロ(約80億円)近い金額で合意の可能性はある」

 昨夏ソシエダからアーセナルに移籍したミケル・メリーノの契約解除金は6500万ユーロ(約104億円)だったが、最終的に移籍金3200万ユーロ(約51億2000万円)プラス出来高500万ユーロ(約8億円)で交渉が成立した。それを考えた場合、久保に正式なオファーがあった場合、契約解除金を下回る金額で移籍が決まる可能性も十分あるだろう。

久保建英の去就について語ったレアル・マドリード番記者3人。左からダビド・アルバレス記者(エル・パイス紙)、ハビエル・ララ記者(バベル紙)、イバン・マルティン記者(OKディアリオ紙)【写真:高橋智行】
久保建英の去就について語ったレアル・マドリード番記者3人。左からダビド・アルバレス記者(エル・パイス紙)、ハビエル・ララ記者(バベル紙)、イバン・マルティン記者(OKディアリオ紙)【写真:高橋智行】

アーセナル移籍なら象徴的選手とポジション争い、不安定な名門であれば…

 一方、スペインのデジタルスポーツ紙「バベル」のハビエル・ララ記者は、ソシエダ退団にやや難色を示した。

「久保が今、ラ・レアルでレギュラーの座を確固たるものにしている以上、彼にとって今夏の移籍が良い選択とは言い難い。また、ラ・レアルにとってミケル・オヤルサバルと並ぶチームのトッププレイヤーであり、ラ・リーガにとっては象徴的な選手の1人であるのため、彼を手放すことは両者にとって大きな痛手となるだろう」

 しかし、そうした個人的な考えとは別に、移籍の可能性も高い確率であり得ると考えており、その場合はイバン・マルティン記者と同じくプレミアリーグがベストの選択肢だと口にした。

「久保はスピードと技術力を備えた、クオリティーの高い才能あふれる選手だ。もし移籍するならば、アーセナルやチェルシー、マンチェスター・ユナイテッドなどが合うんじゃないかな」

「でもアーセナルには同じポジションにブカヨ・サカ(イングランド代表FW)がいる。彼とポジション争いをする実力はあるとは思うが、久保が今のラ・レアルでシンボルになっているように、サカはアーセナルを象徴する選手なので、定位置確保は難しいかもしれない。その点で今季不安定な状態のチェルシーやマンチェスター・ユナイテッドのほうが(レギュラーポジション確保の)チャンスはあると思う」

 スペインの全国紙「エル・パイス」のダビド・アルバレス記者は、久保がソシエダに残留すべきかどうかは今季の結果次第だと考えている。

「久保が来季どうすべきかを答えるのはとても難しい。彼は今、上昇気流に乗っており、安定性が増し、フィジカルが強くなってきている。一方、ラ・レアルは勢いを失いつつあり、来季は欧州カップ戦に出場できないかもしれない。そうなった場合、彼を残留させるのは困難になるだろう。久保はヨーロッパの大会に参加してビッグクラブと対戦するようなチームに所属すべき選手だと思っている」

ソシエダ残留濃厚という見方が強い【写真:IMAGO / Insidefoto】
ソシエダ残留濃厚という見方が強い【写真:IMAGO / Insidefoto】

久保の移籍先…スペイン国内はなし? レアル番記者3人から挙がらない理由

 レアル・マドリードの番記者3人から、久保の移籍先候補としてスペイン国内のクラブの名前が出ていないが、その理由は多くのクラブに財政的余裕がないことが挙げられるだろう。

 昨夏の移籍金最高額は、マンチェスター・シティからアトレティコ・マドリードに加入したアルゼンチン代表FWフリアン・アルバレスで7500万ユーロ(約120億円)。2番目がライプツィヒからFCバルセロナにやって来たスペイン代表MFダニ・オルモで5500万ユーロ(約88億円)だった。このことを考慮すると、久保の契約解除金はスペインのクラブにとって高額と言える。

 久保は最近、「いつの日かここを去る時が来たら、胸を張って去らなければいけないし、自分の結果に満足していないといけない。でも今はまだ満足していない」と話しており、ソシエダの地元サン・セバスティアンでは残留濃厚という見方が強い。

 ソシエダはUEFAヨーロッパリーグ(EL)と国王杯を敗退し、残るは5月下旬に終了するラ・リーガのみとなった。チームがラ・リーガでどのような結果を出せるかによるが、いずれにしても、再び久保の周囲は騒がしくなるのは間違いない。

(高橋智行 / Tomoyuki Takahashi)



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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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