”浦和のクラッキ”がついに覚醒 昨季のJベスト11が浮上のキーマンへ…躍進を予感させたプレー【コラム】

マテウス・サヴィオが加入8戦目で初ゴール&初アシスト
浦和レッズはJ1第8節で清水エスパルスに2-1で勝利し、4試合負けなしで勝ち点を10に伸ばし、11位に浮上した。6日のアビスパ福岡戦、13日に国立競技場で行われるFC町田ゼルビア戦をアウェー2戦が終われば、ゴールデンウィークまでホーム5連戦となり、勝ち点を大きく伸ばすチャンスがある。清水戦は2−0からCKで失点、終盤は終始、押し込まれた状況で最後は清水に助けられたところもあり、薄氷の勝利だった。それでも勝ち点3という結果に加えて、今後の戦いを考えてもポジティブな要素が多くあったことも事実だ。
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その1つがMFマテウス・サヴィオの”目覚め”であることは間違い無いだろう。昨シーズンのベスト11であり、柏レイソルから鳴物入りで加入したブラジル人MFは、ここまで高い個人技で存在感を示していたが、7試合でゴールもアシストもゼロだった。しかし、清水戦で開始4分に相手のパスをカットして、MF渡邊凌磨のゴールをアシスト。マチェイ・スコルジャ監督も「ハイプレスからボールを奪って、(渡邊)凌磨の得点が生まれました。サヴィオも良い仕事をしていました」と働きを評価する。サヴィオは「スタッフが分析した結果だと思います。自分はそのプレーを読んで、ボールをカットしました。自分のアシストというよりも、凌磨のシュートがすごかったです」とアシストのシーンを振り返った。
後半14分にはDF石原広教のクロスを左足のボレーで蹴り込み、待望の今シーズン初ゴールを記録。正確なフィニッシュもさることながら、ゴールの流れに関わっていくプロセスも効果的だった。この日のスタートポジションの右サイドではなく、左に流れていた時間帯。左サイドを持ち上がったDF荻原拓也から斜め後ろでパス受け、ボランチの安居海渡にボールを戻す。渡邉、MF松尾佑介を経由して、右サイドを上がってきた石原にボールが渡ると、ファーサイドへポジションを取った。石原のクロスは相手DFの頭に当たって弾み、こぼれてくる形となったが、「ヒロ(石原 広教)から非常に良いボールが来ました。角度がなかったですが、打つことができて、そして得点になって良かった」と語るようにイメージができていた。
ここまで、なかなかゴールやアシストが生まれなかったことについて、マテウス・サヴィオは「サッカーにはそういうときもありますし、そういうときには落ち着いてやるしかないと思います。日々成長したいですし、日々の練習で成長するよう仕事をしていますので、いつかは結果を出せると信じていました」と答えた。
後半は浦和が4-2-3-1から4-4-2にしたことで、チアゴ・サンタナ、松尾とともにプレスをかけて、清水の3バックからのパスを制限した。スコルジャ監督に求める守備のタスクをこなしながら、攻撃面で違いを見せるのは簡単ではないが、2点目に見られるように、周囲とのコンビネーションをしっかり共有して、局面で個人技を発揮するためのフィーリングが良くなっており、ここからどんどん結果を残していくことが期待できる。
”浦和のクラッキ”として期待されるマテウス・サヴィオの活躍を抜きに、チームの躍進は考えにくい。6月にはクラブ・ワールドカップという大舞台が待っているが、過密日程になってくる4月、5月のリーグ戦で、どこまで結果を積み上げて、浦和の勝利に貢献できるか。期待を持って見守っていきたい。

河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。