W杯サバイバル「仲間を蹴落としてまで」 柿谷曜一朗が吐露した11年前の苦悩「個人としてすごく嫌だった」

柿谷曜一朗氏が「FOOTBALL ZONE」の公式YouTubeチャンネルに出演
昨季限りで現役を引退した元日本代表FW柿谷曜一朗氏が「FOOTBALL ZONE」公式YouTubeに出演。森保一監督率いる日本代表について「徹底解説」した。北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で圧倒的な強さを発揮し、史上最速、世界最速でW杯出場権を得た日本。これから本大会へ向けてサバイバルがスタートする中で、柿谷氏は当時「個人としてはすごく嫌だった」と吐露した。またブラジルW杯直前、自身が苦悩していた様子を明かした。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)
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日本代表のW杯出場が決定した。バーレーン戦で2-0の勝利を掴み取り、7戦目で6勝1分け。史上最速、世界でも開催国を除いて最速の本大会切符だ。かつてブラジルW杯に出場した柿谷氏だが、当時は最終予選が終わった後の2013年東アジアカップ(現E-1選手権)で日本代表に選出され、実力を開花させたことから一気に本大会のメンバー入りをした。これまで最終予選を戦ってきた仲間たちに加え、柿谷氏のようにノリに乗った選手がW杯行きを掴み取る可能性もある。ここからは熾烈な日本代表入りの争いが繰り広げられる。
「(サバイバルは)人によるかなと思いますけど、俺、個人の話で言うとすごく嫌でしたね。仲間を蹴落としてまで、選ばれないといけない。W杯のために戦った仲間はもう仲間じゃないと思わないといけないし、僕みたいに最終予選に選ばれずにW杯に出場する人も出てくる。もちろん、森保監督が家族のように選手を選んでいると僕は思うし、W杯で優勝するためにチーム作りをしているので、この1年ですごく活躍しても代表に選ばれるかは別。ただ、今の強みである2期連続で監督が同じでチームが強くなったのは監督の賜物だけど、今スタメンを考えてと言って選ばれる11人が1年後に出ているようじゃW杯は取れない。脅かすような選手がこの1年で出てこないと同じことになってしまうと思う」
柿谷氏は2013年にJ1リーグで21ゴールをマーク。同年7月に日本代表初選出で、東アジアカップでは得点王に輝いて日本を初優勝に導いた。そのまま14年のブラジルW杯メンバー入り。だが、日本代表入りしてから本大会メンバーに選出されるまで、自身は“重圧”に苦しんでいたと言う。
「今トップコンディションの選手でも1年後はわからない。だからこの争いは僕はめちゃくちゃ嫌いだったし、俺がそう言うメンタルを持っていないとあらわれたのが2014年に入ってからのリーグ戦の成績(14試合1得点)。どうしても意識してしまった部分と周りの圧に押しつぶされそうなメンタルをコントロールできなかった。僕がそうやっただけで今の代表にそう言う弱いメンタルを持っている選手はいないと思う。全員がW杯に向けて準備している状況。でも、異様な雰囲気にはなると思いますよ。絶対落ちる選手は出てきますから。夏までにガッと活躍して海外に行ってさらに活躍する選手も出てくるかもしれないから。特に前目の選手は焦りますよね」
経験談を交えつつ、サバイバルについて語った柿谷氏。森保ジャパンは来年、どのようなメンバーで臨むのか注目だ。

柿谷曜一朗
柿谷曜一朗(かきたに・よういちろう)/1990年1月3日生まれ、大阪府大阪市出身。セレッソ大阪の下部組織から16歳でプロ契約。徳島ヴォルティスやスイス1部バーゼル、名古屋グランパスでもプレー。U-17W杯で2得点し活躍した。13年東アジアカップで得点王、14年ブラジルW杯に出場するなど国際Aマッチ18試合5得点。華麗なトラップ、ゴールで人々を魅了し、「ジーニアス」と称された。24年限りで現役を引退し、解説やメディア出演など幅広いマルチな活動をしている。