次代を担う日本の逸材…16歳司令塔が狙う「アジア1」と「史上最年少」 RB大宮で刺激「今年中には出たい」【コラム】

U-17日本代表のMF神田泰斗【写真:平野貴也】
U-17日本代表のMF神田泰斗【写真:平野貴也】

U-17日本代表メンバーとしてU-17アジアカップに挑むMF神田泰斗

 次世代の司令塔が、どん欲にアジアの頂点を狙う。サッカー男子U-17日本代表は、4月5日に初戦を迎えるU-17アジアカップで、ベスト8に与えられるU-17ワールドカップ(W杯)の出場権獲得と優勝を狙う。

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 ボランチを務める16歳MF神田泰斗(RB大宮アルディージャU-18)は、相手の狭間で味方のパスを呼び込み、攻撃的なパスを配球するゲームメイクに長けた選手だ。正確な左足は、セットプレーでも武器となる。しかし攻撃を組み立てるだけにとどまらず、出国前最後のトレーニングマッチでは、精力的にゴール前へ走り込む姿が見られた。

 神田は「点に絡むのが、去年の課題」と言った。大宮U15時代から世代別日本代表を経験しており、昨季は、高校1年生ながら大宮U18の主軸を担った。しかし、チームはユース年代最高峰のプレミアリーグで最下位に沈み、降格となった。

 歯車の1つとして役割を果たすだけでなく、役割を増やしてチームを勝たせる大きな存在になることが目標だ。「プレミアに1年間出ていたなかで、アシストやゴールが少なかった。トップチームのキャンプでもテツさん(長澤徹監督)に言われていたこと。相手の背後とか最後の(サイドからのクロスに対してFWの後方の)マイナスのところに入っていくことは意識している」と今季J2を戦うトップチームでの指摘も刺激にしながら、得点増に意欲を示した。

 2つの感覚が、責任感と挑戦への意欲を生み出している。昨季のシーズン終了時からは、ほとんどの時間をU-17日本代表かトップチームで過ごしてきた。3月21日には、RB大宮が2種登録を発表。育成組織に在籍しながらトップチームの公式戦出場が可能になった。

 神田は「(U-17)代表では、ある程度、自分がさばいたりとか、チームの中心になってもっとやっていかないといけない。トップチームでは、もっともっと自分の良さを出していかないといけない。トップチームで試合に出場するには、まだ全然足りない。今年中には試合に出たいので、アピールしながらやっていきたい」と中心選手として長所を出すだけでは満足できない環境と、長所を出させてもらえない難しい環境の両方に刺激を受けている。

 トップチームでは、得意とする中盤ではなく、ウイングバックでのプレーも求められた。長所を発揮できないなかでも、運動量の増加や守備意識の向上など、プロレベルで戦うのに必要な要素を体感。「ゴール前の守備は少し慣れてきた」と新たな手応えも掴んでいた。

RB大宮トップデビューへ「アジアチャンピオンになって帰って来れたら」

 アジアカップ1次予選は負傷で出場できず、日本の勝利を喜びながらも、仲間の活躍を知るなかで悔しい気持ちも湧いていたという。迫るU-17アジアカップに向け「(今年、トップチームデビューの)チャンスは、来ると思っている。そのためにも代表活動で自信をつけて、アジアチャンピオンになって帰って来れたら一番良い」と意気込みを語った。

 RB大宮では、トップチームで活躍するDF市原吏音が、U-20日本代表の主将としてU-20アジアカップで世界大会の切符を獲得。もう1つ下のU-17W杯の切符を神田が持ち帰れば、クラブにとっても刺激になる。同期の2選手も2種登録されているが今季トップデビューを飾れば、市原が記録した18歳5日の史上最年少デビュー記録を抜く可能性がある。

 U-17アジアカップでの戦いは、その期待を膨らませるものになるかもしれない。ゲームメイクから、その先のフィニッシュまで。厳しい戦いのなかで確かな成長を刻み、アジアの頂点へ。技巧派レフティーは、その目的を果たすため、どん欲にゴールを目指す。

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平野貴也

ひらの・たかや/1979年生まれ、東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て、2008年からフリーライターとなる。サッカー、バドミントンを中心にスポーツ全般を取材。高校サッカー、自衛隊サッカー、離島甲子園、カバディなど育成年代やマイナー大会の取材も多い。

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