プロ注目の屈強CB…板倉滉が「理想像」 U-17高校選抜で躍動、払拭した選手権での悪夢

U-17日本高校選抜に選ばれた鹿島学園の齊藤空人【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
U-17日本高校選抜に選ばれた鹿島学園の齊藤空人【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

鹿島学園の齊藤空人、182cmのサイズと屈強なフィジカル、跳躍力が持ち味

 日本代表FW上田綺世(フェイエノールト)を輩出した鹿島学園に注目のCBがいる。182センチのサイズと屈強なフィジカル、跳躍力を持ち、空中戦で他を圧倒するDF齊藤空人だ。

「持ち味は声です」と胸を張るように、彼は誰の目から見ても闘争心を剥き出しにして戦うファイターで、空中戦では植田直通(鹿島)のような迫力と空中で止まる長い滞空時間を見せる。それだけではなく、昨年はプリンスリーグ関東1部を通じてカバーリングや対角のキックなどにも磨きがかかり、今年のDFの中でもかなりの注目株となっている。

 だが、昨年度は選手権に出場できなかった。明秀日立と対戦した茨城県予選決勝の前半、彼は接触プレーで目の上を切る怪我を負い、そのままピッチを去った。チームの敗戦を知ったのはスタジアムに戻る車の中。選手権を夢見て、大阪のジュネッスFCから鹿島学園にやってきただけにショックは大きかった。

 しかし、彼は選手権後に結成されたU-17日本高校選抜に選ばれた。選手権本戦の期間中に静岡県で行われる、選手権に出場できなかった全国の強豪校が集まる『NEW BALANCE CUP 2025 IN TOKINOSUMIKA』(通称・裏選手権)で優勝し、大会MVPを獲得したことが大きく影響をした。

「周りは選手権を経験し、かつ活躍した選手たちばかりだったのですが、高いレベルで得られるものは大きいと思ったので臆することなくいつものプレーをしました」と口にしたように、選抜候補合宿では堂々たるプレーを見せ、声でも最終ラインを引き締めるなど存在感を放った。結果、最終メンバーに選ばれ、Jヴィレッジカップでもチームの守備の要として活躍して優勝に導いた。

「対人と空中戦が武器でしたが、昨年1年間を通じて試合の流れを掴む力は徐々についてきたと思います。サイドチェンジされても相手のFWの位置を見て立ち位置を決めたり、ボールを受けたら少し運んでから対角のキックを蹴ったり、引き出しを広げていく意識を持ったことで、やれることは増えてきている手応えがあります」

 彼にはCBの理想像がある。それは日本代表の守備の要である板倉滉だ。

「走れて、飛べて、運べて、守れる選手。パワーと技術が融合したCBだと思うので、カタールW杯を見て強烈な憧れを抱いて、そこからずっと映像を見て学んでいます。まだまだ程遠いですが、そこで無理だと思ってしまったら成長は止まるので、理想像はこれからも抱き続けてやっていきたいです」

 今季、鹿島学園はプリンス関東1部でも優勝候補に挙げられるほど、タレントが揃っている代と言われている。その中で自分の確固たるなりたい自分を持ち、最終ラインの番人としてプレーと声で相手を圧倒し、味方を鼓舞する彼の存在はまさにチームの心臓と言える。

「もちろんフィジカルもこれからもっと鍛えていきたいと思います。鹿島学園にはグラウンドと校舎の間に急で長い階段があるのですが、そこを走って足腰は格段に強くなっていますし、この環境で3年間やり抜けば、上田選手のように上のステージに行けると思っているので、自分を信じてやるだけです」

 プロの注目も集まる中、彼は真っ直ぐに自分の力を証明し続ける。偉大な先輩と大事な理想像を追いかけて。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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