J2優勝→J1屈指の過酷環境で「スタジアムの圧も」 秋葉監督が悔やんだ「たった1%」

清水の秋葉忠宏監督【写真:徳原隆元】
清水の秋葉忠宏監督【写真:徳原隆元】

浦和に1-2で敗れた清水の秋葉監督「99%持っている力を出した中で…」

 清水エスパルスは4月2日のJ1第8節で浦和レッズとのアウェーゲームに臨んで1-2で敗れた。秋葉忠弘監督は試合後の会見で「たった1%が不足していると勝ち点を持ち帰ることができない」とJ1での戦いにおける厳しさを言葉にした。

 清水は1993年Jリーグ創設時の「オリジナル10」の一員であり、初期からタイトル争いに加わる名門として戦ってきた。しかし、2020年代に入ると低迷が続き22年にJ2へ降格。2シーズンを過ごして、今季に向けJ1へ復帰。開幕戦で東京ヴェルディに勝利するなど、浦和戦前時点の7試合で勝ち点11を稼ぎ3年ぶりのJ1でも十分に渡り合う姿を見せていた。

 しかし、この日は「(公式戦)8連戦の3戦目で、正直に言うと少し怪我人も出ている。これ以上選手が壊れることなく、勝ち点を拾っていきたいと思っていた中で、連戦を見据えたマネジメントだった」と少しスタメンを入れ替えて臨んだ。その試合開始4分でビルドアップのパスを引っ掛けられ、ショートカウンターを受けるとMF渡邊凌磨に鮮やかなミドルを決められビハインドの展開になった。

 フレッシュな選手を特に前線へ後半から投入するのが試合前からのプランだったと明かした指揮官は「前半は最低でも0-0で終えたかった。このゲームプランを遂行できれば、より一層面白いゲームになったのではないか」と、悔やんでいた。

 後半に追加点を許し2点ビハインドとなったものの、ラスト20分ほどは猛攻を見せ途中出場のMF矢島慎也のコーナーキックからDF高木践のゴールで1点差に迫った。それも含め、秋葉監督は「浦和というJ1屈指のアウェーの環境でも、狙いとするものは見せてくれたし、強気で、獰猛なフットボールは見せてくれたと思う。非常に面白い90分間だった。ただし、99%持っている力を出した中でも、たった1%が不足していると、このJ1、そして浦和さんのようなビッグクラブ相手には勝ち点を持ち帰ることができない」と話した。

 2016年リオデジャネイロ五輪代表で秋葉監督とコーチと選手の関係だった矢島は、こうした言葉を受け「1失点目のシュートはすごくクオリティーが高かったけど、奪われ方は外回しのところで自分たちの技術的なミス。でも、相手からすればそこが取りどころという駆け引きに負けた形だった。先制された時の振る舞いが課題にあると思う」と話す。

 また、スタメン出場した18歳のMF西原源樹ら、J2時代の加入選手やJ1での経験が少ない若手もいることについて「今日で言えば、先制点の場面で雰囲気を持っていかれて勝負の分かれ目になってしまったと思う。スタジアムの圧もありますし。源樹とかもけっこう話すけど、これに気を落とさずにやらせていくようなことも、自分たちベテランの域に入ってきている選手の役割だと思う。そういうところも経験なので、それを生かせるかは自分たち次第だと思う」とも話していた。

 秋葉監督は「より高みを目指して、J1でも勝つチーム、クラブ、選手になれるようにやっていく」と決意を話していた。仕切り直し、J1再出発のシーズンになっている清水は、あらためて経験も積みながらチーム力を高めていく過程にあると言えそうだ。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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