33歳元Jリーガーが2発「やっと決めることができた」 思わず漏れた本音…“初挑戦”で首位へ

2ゴールでチームを勝利に導いたクリアソン新宿FW中山仁斗【写真:荻島弘一】
2ゴールでチームを勝利に導いたクリアソン新宿FW中山仁斗【写真:荻島弘一】

クリアソン新宿が暫定ながらJFLの首位に立った

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 東京23区から初のJリーグ入りを目指すクリアソン新宿が、暫定ながらJFL(日本フットボールリーグ)の首位に立った。開幕から2勝1敗のクリアソンは3月29日、AGFフィールドでヴェルスパ大分と対戦。FW中山仁斗(まさと)の2ゴールなどで3-2と競り勝った。前節まで2位のヴェルスパに今季初めて土をつけたクリアソンは勝ち点を9に伸ばした。

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 前日までの好天がうそのような冷たい雨の中、先制したのはホームのクリアソンだった。前半25分、左サイドを駆け上がったクリアソンMF上野正騎の左クロスがヴェルスパのオウンゴールを誘った。しかし、同30分には相手FW今村優介にヘディングでゴールを決められ同点。ともに「J3昇格」を目標に掲げる両チームは激しく点を奪い合った。

 爆発したのはJ2ベガルタ仙台から今季新加入のFW中山仁斗。前半40分に右クロスを頭で合わせた移籍初ゴールで突き放すと、元日本代表FW金崎夢生を軸にしたヴェルスパの猛攻に耐えた後半29分には再び頭で追加点。「開幕から1ゴール目は意識していたが、チャンスに決められなかった。やっと決めることができた」と殊勲のストライカーは喜んだ。

 今季7人の新加入選手を加えたクリアソン。前節まで3試合で奪った4点はFC大阪から移籍したDF坂本修佑、新潟からのMF島田譲、八戸からのMF前澤甲気、そして日大からの猪野毛日南太(いのけ・ひなた)といずれも新加入選手、新卒の猪野毛を除けば、チームの「オーバー30戦略」で加入した30代のベテラン元Jリーガーたちだ。

 そんな中で点取り屋として期待されて仙台から加入した33歳の中山は無得点だった。北嶋秀朗監督は「苦しかったと思う。昨日もチーム練習後、上がれと言っても残ってボールを蹴っていた。そんな仁斗がゴールしたのは大きい」とJ1も経験する中山の得点を喜んだ。

Jリーグでの経験豊富な30歳以上をターゲットに選手を獲得

 新加入選手の活躍で、クリアソンは好スタートを切った。クラブのアカデミーでヘッドオブコーチングを務める元日本代表の森岡隆三氏は「新しい選手が早いタイミングでチームに溶け込み、活躍しているのが大きい。クラブの理念に合った選手を獲得したフロント、それをマネージメントする北嶋監督の手腕」と、好調の原因を説明した。

 10人以上も選手を入れ替えることも珍しくないJFL。中にはチームとしての完成が遅れて苦しむケースもある。クリアソンは新加入選手と既存選手との融合がうまくいった。

「オーバー30戦略」。Jリーグでの経験豊富な30歳以上をターゲットに選手を獲得した。丸山和大社長、上田晃太強化担当が面接し、クラブの理念を共有できる選手だけを獲得した。「年齢だけではなく、人間的にも成熟した、クラブの考えに合った素晴らしい選手たちが来てくれた。フロントの力です」と北嶋監督は話した。

 Jリーグを目指しJFLにも多くのプロが在籍するが、クリアソンにはプロ契約選手が1人もいない。全員が株式会社クリアソンやほかの企業の社員。地域貢献活動やスポンサー関連事業などを「社業」としてこなしながらプレーする。専用練習場もクラブハウスもない。

「確かに、プロでなくなるのに抵抗がある選手もいます。環境も決して恵まれているとはいえない。それでも、クラブの考え方に共感してくれる選手は来てくれる」と丸山社長。クラブの目標、目的が明確ならば、選手たちの目標、目的も同じ方向を向く。チームとしての一体感は自然と生まれてくる。

 Jリーグでプレーを続ける道もあった中山は「新宿から世界を目指すというビジョンに、自分も参加したかった。自分の力でクラブの夢を実現させたいし、自分も成長できる」と話した。「今日のゴールで乗っていければ」と近い目標のJ3昇格を目指して言った。

北嶋監督が呪文のように伝える「謙虚徹底と凡事徹底」

 開幕直後の第3節で全勝がいなくなったJFL。前節でJ3から降格したY.S.C.C.横浜を破り、この日無敗だったヴェルスパに競り勝って暫定ながら首位に立ったクリアソン。昨季は第4節終了時点で1分3敗。0得点10失点とボロボロだっただけに、北嶋監督は「ありがたいですね。支えてくれている人たちのおかげです」と3勝目と暫定首位を喜び、サポーターやスポンサーら関係者に感謝した。

 30日には前節まで無敗のラインメール青森といわてグルージャ盛岡の試合がそれぞれある。まだまだシーズンは始まったばかりだが、北嶋監督は手応えも口にした。「呪文のように言っているのは『謙虚徹底』と『凡事徹底』。それを新加入選手と既存の選手が高い基準で体現してくれている」。東京のど真ん中から地域とともに世界へ、クリアソンは夢に向けて突き進む。

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荻島弘一

おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。

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