禁断の移籍から新たな因縁も…「栃木SCに負けるわけない」 昇格組vs降格組、史上初を巡る火種【インタビュー】

栃木シティの田中パウロ淳一「違いも楽しんでもらえたらという感じです」
3月30日に行われるJ3のとある一戦に大きな注目が集まっている。ともに栃木県に本拠地を置く栃木SCと栃木シティがJリーグで初めて激突するが、すでに場外戦まで勃発。インフルエンサーの一面も持つ栃木シティFW田中パウロ淳一は、「栃木SCに負けるわけない」と力を込めた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大)
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栃木市などをホームタウンとする栃木シティは昨季、JFL優勝を飾ってJ3昇格。今季はその勢いのまま、第6節を終えた時点で2位と躍進を遂げている。一方、宇都宮市がホームタウンの栃木SCは、昨季のJ2を18位で終えてJ3降格。1年前は2カテゴリー差だった2クラブが、奇しくも同じ舞台で戦うことになった。
さらには、いわゆる「禁断の移籍」から新たな因縁も生まれた。2020年から栃木SCで5年間プレーし、背番号10も背負ったMF森俊貴が、今年1月に栃木シティに完全移籍。田中パウロが自身のXで「栃木ダービー」と投稿すると、栃木SC関係者と呼称を巡って舌戦を展開するなど、大きな盛り上がりを見せている。
今季1ゴール3アシストと好調を維持する田中パウロは、以前から「栃木SCには負けたくない」と発信。「栃木SCは歴史あるちょっとお堅いチームで、僕たちはどちらかというと新しいことに取り組んでいて、僕とかはやりすぎているくらい。その違いも楽しんでもらえたらという感じですね」と見どころを語る。
TikTokでも注目を集める田中パウロが「栃木SCに負けるわけない」と火花を散らすのは、子供たちの顔が浮かぶから。「僕たちトップが栃木SCに負けていたら、子供たちのためにならない。僕たちが勝てば、県内でも栃木シティに来ればうまくなれたり強くなれたり、プロに近づけると思ってもらえる」と話す。
また、栃木県では優秀な選手が県外に流出していたり、サッカーよりもバスケの人気が高いことにも危機感を持つ。「僕たちが1番だと子供たちにも誇れるチームになりたいと思っています」と熱い思いを語る田中パウロ。史上初の「栃木ダービー」はどちらが勝つのか、Jリーグに新たな歴史の1ページが刻まれる。
(FOOTBALL ZONE編集部・工藤慶大 / Keita Kudo)