2度の“決定機阻止”「退場だけは絶対に嫌」 浦和を救った冷静さ光るベテランの駆け引き

浦和の西川周作【写真:徳原隆元】
浦和の西川周作【写真:徳原隆元】

西川が前半12分のセーブシーンを振り返る

 浦和レッズは3月28日のJ1リーグ第7節、セレッソ大阪戦に1-1で引き分けた。内容的には負けていておかしくない展開だったが、2点目を与えなかったことが勝ち点1につながった面もあるだろう。GK西川周作は前半にペナルティーエリア外で、2連続でシュートを止めるプレーを見せたが、そこにはベテランらしい冷静さが裏打ちされていた。

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 浦和は前半2分に右サイドの背後を突かれ、中央でFWラファエル・ハットンに決められて先制を許した。C大阪が両サイドにウイングを張りだしてくるチームなのは認識されていることで、その対応はこのゲームに向けた準備のテーマとして1つ存在していた。マチェイ・スコルジャ監督は「我々のイージーなミスと言える形から失点をする最悪なスタートになった。いきなり自分たちを難しい状況に追い込んでしまった」と嘆いた。

 それにより、中盤のMFサミュエル・グスタフソンが「相手が1点を早く取ったことが影響したところもあるでしょうね。負けていると、前から行かなくても良い時でも行かないといけないような気持ちになってしまう」と話したような面があり、前線の選手がプレスに出る姿勢を見せるも空回りが続いた。そして、前半12分には中盤を突破され、MF北野颯太のスルーパスにハットンが抜け出す大ピンチを迎えた。

 しかし、ここで立ちはだかったのが西川だった。ペナルティーエリア外まで飛び出すと、まずはハットンのシュートに対して足から身体を投げ出して弾き出すと、こぼれ球に反応したMFルーカス・フェルナンデスのシュートも足でブロック。最後はDF奥田勇斗がループシュートを狙うも枠を外れたが、その間に浦和はフィールドプレーヤーがゴール内まで戻っていた。

 この場面について西川は「退場だけは絶対に嫌だったので、(1つ目は)相手が先にボールを突くと思ったのでコースを抑え込もうと思って、何とか止めることができた。自分のいる場所が(エリア外だと)分かっていたので、2つ目もしっかり構えて股を空けないことを意識した」と話した。

西川の“セービング”が可能性をつなぎ、途中出場の渡邊が同点弾を決めた

 GKはペナルティーエリア外に飛び出した際もシュートに対し反射的に手が出てしまうと聞くこともあるが、西川は2つの場面でいずれも決定機の阻止で退場処分につながるハンドの反則を避けるようにしてシュートを抑え込んでいた。J1通算600試合出場を超えるベテランらしい冷静さが光る場面になった。

 浦和は試合終了間際に2トップへの変更も功を奏してMF渡邊凌磨が同点ゴールを奪い、勝ち点1をもぎ取った。指揮官が「試合前に目指したものではないが、今日の試合を見れば良い結果とも言えるものになっただろう」と振り返るような苦しいゲームでの引き分けだったが、西川の“セービング”が可能性をつなぐものになっていた。

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