日本代表FWは「アジアより世界で輝く」 W杯で「見たい」…特異な才能発揮を絶賛【見解】

【専門家の目|太田宏介】前田は前半に2度の決定機を迎えた
日本代表FW前田大然は3月25日、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のサウジアラビア戦でスタメン出場した。0-0と得点の奪えなかったゲームで2度の“決定機”があったなか、元日本代表DF太田宏介氏は「アジアより、世界で輝く」と前田の特徴を分析している。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)
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前田は所属するスコットランド1部セルティックで公式戦28ゴールと絶好調だ。3月の代表戦で順当にメンバーに選出され、サウジアラビア戦で1トップとしてスタメン出場した。期待されていた得点に最も近づいたのは前半8分だった。20歳DF高井幸大の縦パスからMF田中碧がバイタルエリアでターンして前を向くと、裏へ抜け出した前田へ絶妙なスルーパスが通る。
惜しくも前田のダイレクトシュートはポストに嫌われたが、このシーンを見た太田氏は「一瞬の駆け引きで相手を外す動きと、背後を取れるスピードが見事でした」と賛辞を送る。これまで相手最終ラインの背後にあるスペースを生かしたプレーが特徴とされてきたなかで、今季さらに進化している部分だと太田氏も感じていた。
また10分後には、相手の最終ラインがボールを持ってもたついている間に高速プレスでボールをカット。一気にGKとの1対1を迎える。ここでは2タッチ目が上手く決まらず、シュートは防がれてしまう。
この場面について太田氏も「『決めてくれ!』とは思いましたね。ゴールとはなりませんでしたが……」と前置きしつつ「多分、前田選手じゃないと、まずシュートまで持っていくことができないですよね」と持ち味が発揮されたシーンを振り返った。
「今の代表では上田(綺世)選手がファーストチョイスなのかもしれませんが、W杯本戦ならより攻めに出てくる強豪国が多いです。そうなると、ああいった前田選手の前線からのプレスがカタールW杯の時のようにハマる可能性は大いにあると思います。アジアより、世界で輝くタイプな気がします」
アジアから世界へ舞台を移した際には、前田の才能が最大限に活かすことができる。太田氏は期待を寄せつつ「やはり代表からは外せない選手ですね。前半8分のシーンでもあったように、今は1トップもクラブで務めていて、最終ラインとの駆け引きの上手さや精度が格段に上がっていると思います」と、27歳FWの成長を喜んでいる。
「そういえば…昨年アンパンマンミュージアムに行ったら、前田選手も子供を連れて訪れていたんです。本当にアンパンマン好きなんだなと再確認できましたね(笑)」と笑いも誘いつつ「W杯でアンパンマンポーズを決めてくれる姿が見たいです。最近見ていないので……」と、前田が1年後に輝く姿を想像していた。

太田宏介
太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。