日本が最終予選で初の“ノーゴール”「傾向はより顕著」 英記者が挙げた“攻略のカギ”【コラム】

英記者が日本のサウジアラビア戦を総括、1G1A久保を大絶賛
パーティーのあとの二日酔い? 先発メンバーを6人入れ替えたにもかかわらず、日本はアジアの強豪相手にも試合支配ができるという事実が全てを物語っている。唯一ゴールだけが欠けていた。
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時間の経過とともに組織としての規律が増したサウジアラビアの守備に対し、森保一監督率いる日本の攻撃は何度も跳ね返されたり、あるいは最後のタッチの精度を欠いたりしていた。
もちろんより大きな計画として見れば、今回の結果自体はさしたる問題ではない。日本はすでにW杯出場を決めており、このアジア最終予選8試合での失点は谷口彰悟のオウンゴールを含む2つのみだ。
サウジアラビアも日本の堅守を崩せる気配はなかった。日本がポゼッションを支配し、エルヴェ・ルナール監督率いるチームのチャンスはわずかなものだった。
サウジアラビアは今予選で苦戦が続いている。直近6試合での得点はわずか1点のみ。埼玉スタジアムでの90分間、GK鈴木彩艶が脅かされる場面もほとんどなかった。
そのなかで日本がどのようにして突破口を開くのか。前半を見ている限り、サウジを攻略する鍵は中村敬斗にあるように見えた。
彼は右サイドバックのムハンマド・アルシャンキティを何度も翻弄した。ルナール監督がこのアル・イテハドのDFをハーフタイムで交代させたのは当然の結果だった。
中村はまさに絶好調だ。同じポジションに彼以上のクオリティーを持つ選手がいなければ、間違いなく彼がファーストチョイスなれることを証明した。三笘薫に代わるトップクラスのバックアップがいることも明らかになったともいえるだろう。
上田綺世ではなく前田大然を先発に起用するという判断は、日本の前線にプレッシングのエネルギーとダイナミズムをもたらす結果になった。セルティックの男はサムライブルーにこれまでとは異なる切り口をもたらした。シュートがポストに当たり、先制点を奪えなかったシーンは不運だった。
日本はボールを支配し、ポゼッション率でも相手を大きく上回っていたにもかかわらず、この試合はフラストレーションがたまる試合となった。その点ではバーレーン戦の前半45分と共通している部分だ。
アジアのチームは日本との対戦で常に人数をかけて守ってくる。森保ジャパンの評価が高まるにつれて、その傾向はより顕著となってきた。それらを突破して得点を奪うことが、今後は常に課題となるだろう。この試合ではそれができず、今回の予選で始めて無得点に終わることになった。
しかし、そのような苦労を経験するのが、すでに予選突破を決めているこのタイミングで良かったともいえるだろう。忘れてはならないのは、今回の1ポイントによって、日本は2試合を残してグループ首位を確定させたということなのだ。
(マイケル・チャーチ/Michael Church)

マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。