森保Jスタメン2枠の入れ替わり「確実」 旗手、古橋、町野…アピール必至の代役候補たち【コラム】

サウジアラビア戦でアピールが求められる町野修斗、旗手怜央、古橋亨梧【写真:Noriko NAGANO】
サウジアラビア戦でアピールが求められる町野修斗、旗手怜央、古橋亨梧【写真:Noriko NAGANO】

W杯出場権獲得の森保ジャパン、25日サウジ戦スタメンの顔ぶれは?

 日本代表は、北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選でバーレーンに勝利し、開催国を除いて最速での本大会出場を決めた。グループCでの戦いは残り3試合。組分け抽選でポット2を確保する意味でも、すべて勝利を目指していく必要がある。そうは言っても、よりチームの競争を活性化し、戦力を底上げしていくために、森保一監督もバーレーン戦で出番のなかった選手にもチャンスを与えるはずだ。

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 バーレーン戦のスタメン組から、すでに守田英正と上田綺世の離脱が発表されており、少なくとも2枚は入れ替わることが確実となっている。ボランチはおそらく、バーレーン戦の後半頭から起用された田中碧が、そのままキャプテンの遠藤航とコンビを組むことになると予想される。もちろんバーレーン戦はベンチ外だった藤田譲瑠チマやシャドーとボランチのポリバレントな起用が想定される旗手怜央にも、チャンスが巡ってくる可能性は少なからずある。

 予想が難しいのは1トップだ。上田綺世がバーレーン戦でこなした役割をそのまま考えるなら町野修斗をそのまま当てはめるのがセオリーだ。バーレーン戦の終盤に投入されて2点目のCK(コーナーキック)を獲得するなど、短い時間で特徴を出せたところもあったが、町野は「僕にはここからしかないので、また頑張っていきたい」と語っており、サウジアラビア戦に懸ける思いが人一倍強いことは伝わってくる。

 今回は追加招集だが、小川航基を怪我のために招集できなかった背景もあるだけに、1トップでチャレンジしたい思いを森保監督に伝えていたという町野にとって、今後のサバイバルに向けた格好のアピールの場になることは間違いない。町野は所属クラブのホルシュタイン・キールで見せているとおり、前線に張るだけでなく、幅広く動いて起点になりながら、機動力の高さを生かしてゴール前に飛び込むプレーでもできる。大型FWと言っても、上田や小川とも違う色を加えられることは間違いない。あとはゴールという結果で価値を示せるかどうかが大事だ。

 その一方で、古橋亨梧を1トップにした布陣をここで試す意味は大きい。セルティック時代から、欧州で挑戦する日本人FWの中でも、最も得点を記録している古橋を代表に生かしきれていないことに批判的な声も挙がっていた。もちろん、ここまで森保ジャパンとして結果を出すことで、そうした声を封印してきた側面はあるが、世界での戦いに向けて、古橋の特長を生かした戦い方にトライすることで、世界で勝つためのオプションを加えられるはずだ。

 古橋は相手のディフェンスを背負うより、裏を狙う動きを繰り返しながら、タイミングよく抜け出してゴールを仕留めるタイプだ。ただ、攻撃のプロセスにおいて、彼なりのポストプレーの方法はある。一瞬の動きで相手のマークを外してライン間で受けて、攻撃の方向性を作る役割だ。ちょうどオフ明けとなった22日の練習では必ず1タッチで方向を変える“フリック”を使ってフィニッシュにつなげるメニューをやっていたが、そうした仕事は古橋が打ってつけだ。

 古橋も上田とはまた違った形で、ゴールを決めるだけでなくポストプレーでも貢献したいと主張しており、昨年11月の中国戦でも垣間見せたプレーをブラッシュアップすることで明確なオプションを加えていけるはずだ。そこで重要になるのがシャドーの組み合わせで、例えば2列目でためを作れて、周囲を生かせる鎌田大地と幅広く攻撃に関われる南野拓実の組み合わせは古橋との相性が良さそうだ。

 もちろんセルティックで同僚だった旗手怜央がシャドーで出場チャンスを得られれば、長くコンビを組んでいた2人ならではのコンビネーションも見られるはず。またバーレーン戦前の練習では別メニューだった前田大然もコンディションを上げてきている様子で、状況によっては現在フランスのレンヌでプレーする古橋も合わせた“トリオ”が代表戦で出揃う期待もある。

 6月の2試合は初招集も含めたフレッシュなメンバーが選ばれる可能性もあるなかで、サウジアラビア戦は町野や古橋、旗手のような選手たちにとってチャンスであると同時に、今後に向けたサバイバルのリスタートとも言える。勝利が求められることは大前提だが、そうした選手たちのアピールにも期待して、戦いを見届けたい。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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