最終予選のラストピース トップシークレットだった長谷部誠コーチ招聘の舞台裏【連載】

森保一監督からのリクエストで長谷部誠コーチが実現した【写真:産経新聞社】
森保一監督からのリクエストで長谷部誠コーチが実現した【写真:産経新聞社】

最終予選から長谷部誠コーチが就任

 森保一監督率いる日本代表は3月20日の北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選でバーレーンに2-0で勝利し、8大会連続8度目の本大会切符をつかみ取った。3試合を残して史上最速でW杯出場を決めた今回の最終予選。強さの秘訣に迫る連載「森保ジャパンの深層」の第3回では最終予選から入閣した長谷部誠コーチの招聘“舞台裏”。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 衝撃が走った。2024年8月29日、アジア最終予選の初戦、9月のホーム・中国戦、アウェー・バーレーン戦に向けてのメンバー発表会見。元日本代表MF長谷部誠氏がコーチとしてチームに同行することが発表された。長谷部コーチの存在はチームにとって大きく、特に敵地の練習では前後でMF守田英正やMF遠藤航と長ければ約15分ほど話し込んでいた。ボランチの“青空ミーティング”は活発な意見交換が行われている様子で、守田も「絶対的に、僕たち選手、スタッフもそうですけど、プラスだと思うし、ハセさんが来てくれたことによって得られるものは大きいと思っています。説得力がある」と話していた。

 選手とコーチの間に入る中間管理職として積極的に周囲とコミュニケーションを取る長谷部コーチ。サプライズ人事は昨夏のEURO(欧州選手権)で現地スタッフが初めて本人と交渉。交渉段階ではトップシークレットとして扱われ、入閣を希望した森保監督をはじめ数人しか知らなかった。クラブや、宮本恒靖会長の耳にも届いていなかった。

 段階を踏んで、秘密裏に交渉は進められていった。現場の強い希望が通り、長谷部コーチが所属するドイツ1部フランクフルトも功労者に寛容な対応をとってくれた。

 クラブ所属コーチのA代表スタッフ就任は史上初めてのこと。長谷部コーチと長い時間を過ごしたのが、2010年の南アフリカ大会から2022年のカタール大会まで、4大会連続でW杯に出場したDF長友佑都。カタールW杯を除いた3大会は長谷部“主将”と共闘した。その長友も「ハセさんが世界目線、ヨーロッパ目線で話してくれるから選手もすごく腑に落ちるというか、ハセさんの1つ1つの言葉に重みがあり、それがやっぱり自分の情報ではなくて、経験が伴う言葉だから後輩たちもすっと中に入ってくる」と唯一無二の存在を語っていた。

 長友をはじめ、MF鎌田大地とはフランクフルトでチームメイト、遠藤とはロシアW杯を共に戦った。チームとしてより一体感を増したのは長谷部コーチという、選手とスタッフの“架け橋”となる存在がいたことも1つの理由に挙げられる。

 森保ジャパンにとってレベルアップを示した最終予選。選手、スタッフがさらに一丸となって、目標とする「W杯優勝」を取りに行く。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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