日本の“史上初”を経験…代表OB「現実的ではない」 W杯ベスト8へ森保J快進撃も“新たな障壁”

1997年のW杯予選を経験した北澤氏が森保ジャパンの展望を語る
森保一監督の率いる日本代表は、3月20日に行われた2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選でバーレーン代表に2-0で勝利し、1998年のフランスW杯から続く連続W杯出場回数を8回に伸ばしている。初めて日本が世界への扉をこじ開けた1997年のW杯予選の時、日本代表の一員だった北澤豪氏が悲願のW杯ベスト8入りに向けて考えるポイントを語った。
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北中米W杯出場から一夜明けた21日、日本フットサル連盟の新会長に就任する北澤氏は、都内の駒沢屋内競技場で、第30回全日本フットサル選手権を視察。北澤氏が現役だった頃から続く記録を更新したことについて「昨日、8大会連続って聞いてビックリしました」とあらためて森保ジャパンの偉業を称賛した。
「今回はW杯の出場国数が32から48に増えて、アジアの枠も広がったこともあるので『W杯に行きやすくなった』という捉え方ももちろんできるでしょう。しかし、アジアのレベルが上がっているはずであり、そのなかで世界最速で、しかもこれだけの早さでW杯出場を決めているわけですから、凄いことだと思います。特に昨年のアジアカップではタイトルを取れませんでしたし、そう考えると、あそこからの見つめ直し方は成果として出ていますよね」
昨年2月、森保ジャパンは優勝の筆頭候補としてカタールで開催されたAFCアジアカップ2024に臨んだ。しかし、ベスト8でイランに1-2で敗れるという結果に終わる。「イラン戦以外にも危ない試合があって、今ほどの差は作れていなかった」と指摘した北澤氏は「あのイラン戦以降は負けていないわけですから、やっぱり個人の向き合い方と、グループとしてのチームの作り方が、その成果として出ているのではないでしょうか」と分析した。
出場枠の増加であたらに生まれた課題「1.5チーム以上のものがないと難しい」
森保一監督とは、日本代表として1994年のアメリカW杯予選を戦い、身をもって「ドーハの悲劇」を経験した。選手時代に初のW杯出場まで、あと数分というところまで近づいていたかつてのチームメイトが、監督として2大会連続で日本をW杯に出場に導いたことにも、「凄いことですよね」と唸り、本大会で史上初の8強入りを果たすためには、これまで以上に選手層の厚さがポイントになると語った。
「出場枠が増えたことで、今度はW杯での戦い方が難しくなります。今まではグループ2位以内に入って決勝トーナメントで1つ勝てばベスト8でした。しかし、今大会からはグループ3位の成績上位8か国も決勝トーナメントに進めますが、ラウンド32からなので決勝トーナメントで2つ勝たなければ、ベスト8には進めません。4試合目、5試合目に焦点を当てていかないといけない。そうすると今後、グループとして1.5チーム以上のものがないと、今のトレンドであるハイパフォーマンスのサッカーをするのは難しい。同じ選手が3試合以上出場して、ハイパフォーマンスを出し続けることは現実的ではないでしょう」
選手層を厚くすることと同時に、個で違いを作れる選手の必要性にも言及した。
「グループとしてのチームの洗練も必要ですが、ちょっと別格な選手、突出した選手が何人かいないといけません。そういう意味では、久保(建英)とか、三笘(薫)とかが、そういった領域に少しずつ近づけて行っているのは頼もしいですね。今の海外での活躍を見ると、どうにもならない局面をああいった人材でって思えるところも、期待ができる理由かなと思います。ああいう場所で日常を過ごせているのは大きいよね。当たり前の設定が違っていて、かつそのなかでチームに勝利をもたらす影響力を持つ存在になっているわけですから」
ここからは誰がW杯の日本代表に入っていくかも注目される。自身も1998年のフランスW杯の直前で元日本代表FW三浦知良、元日本代表DF市川大祐氏とともにメンバーを外れる経験をした北澤氏は、「ここから誰が選ばれていくかは、結構、枠がきつくなる」と語り、「昨年のパリ五輪のメンバーも、どれだけ入れられるか。多分、連続出場の選手が増えると思いますが、ちょっとギャップができてしまう。バランスを良くして、次の世代のことも考えないといけない。もちろんレベルが足りないのに入れる必要はないから、あの世代はもっと頑張ってこないといけない」と、20代前半よりも若い選手たちの台頭を期待した。
(河合 拓 / Taku Kawai)