さりげないユニ拾い「さすがキャプテン!」 強い理由が凝縮…日本代表“影のやり取り”【見解】

【専門家の目|太田宏介】日本代表の強さが垣間見えた得点後のワンシーン
日本代表MF久保建英は3月20日、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の第7戦バーレーン戦でニアを打ち抜く豪快な一撃を決めた。その後、歓喜の輪を作り祝福したチームの雰囲気を見た元日本代表DF太田宏介氏は森保ジャパンの「結束力の強さ」を感じ取っている。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)
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前半21分、完璧な連係からMF鎌田大地が先制ゴール。前半苦しんだ相手のプレスを一気にかいくぐった中央突破だった。2点目は同42分、MF久保建英がショートコーナーから個人技で抜け出しゴールニアを破る。直後に感情を爆発させた久保は、ユニフォームを脱ぎ捨て仲間の元へ駆け寄っていった。
実はこのユニフォームを拾い上げ、届けた人物はキャプテンのMF遠藤航。興奮冷めやらぬ久保の頭を軽く叩きつつ、祝福の輪に加わる。「ユニフォームは脱がなくていいだろと思って(笑)。一応キャプテンなので周りを見られるようにしておかないと」と語った姿も印象的だった。
中継映像だと、久保の脱ぎ捨てたユニフォームがいつの間にか本人の手元にあるという事態に。様子を見ていた太田氏は疑問だったというが、答えが分かると「さすがキャプテン! 気が利きますね」と日本をまとめる主将の行動を称えている。
こうした場面も含め、今の森保ジャパンの雰囲気に太田氏は「本当にチームとしてまとまっているんだな」と感じることが増えたという。この試合の終盤には、久保が最終ラインまでプレスバックしチームを救う姿も。太田氏も「森保さんは選手に対する忖度もない。全員がやるべきことを理解して、それを遂行できるのは結束力の強さだと思います」と、ここまで7試合6勝1分けと圧倒的強さを見せる日本代表を紐解く。
「規律の浸透に加えて、それぞれの選手の特色が出ています。森保さんが掲げるチームの規律を表現できる選手がしっかりそろっています。一体感がさらに高まって、より強固なチームになってきていると思いますね。あれだけクオリティー高い選手が全員でハードワークして…。全員で勝利のために動いたらそれは強いっすよ」
起用する選手もここ1年間である程度固まってきており、「もう大会モードの選考基準になっているのではないでしょうか」と日本代表の変化を感じている。最終予選は残り3試合。10月以降には親善試合も4ゲーム決まったなか、いよいよW杯へ向けて森保ジャパンも佳境に入っていく。

太田宏介
太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。