史上最速でのW杯決定も…「過信は絶対にしてはいけない」 三笘薫の脳裏に今も焼きつく「悔しさ」【独占手記】

日本代表のエースとしてプレーをする三笘薫【写真:徳原隆元】
日本代表のエースとしてプレーをする三笘薫【写真:徳原隆元】

日本代表はバーレーンに勝利し、8大会連続8度目の本大会出場を決めた

 イングランド・プレミアリーグのブライトンに所属する日本代表MF三笘薫が、2026年北中米ワールドカップ(W杯)出場が決まったことを受け、「FOOTBALL ZONE」に手記を寄せた。初出場となった前回2022年のカタール大会で世界を驚かせた27歳が、2度目のW杯に向けて決意を記した。

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 本当にホッとしています。やっぱりホームで決めるのはサポーターの熱もそうですし、全員でW杯に行くという気持ちがW杯にもつながっていくと思うので、ホームで決めるのは特別なものがありますね。
 
 初戦の中国戰の前は緊張感はありました。でも、チャンピオンズリーグやW杯など色んな経験をしている選手が多いなかで、ここでいつもどおりのプレーができないようなレベルではないと思っています。あの7-0の結果を出すことで周りも警戒してくれたと思いますし、自分たちも自信になりましたね。

 前回カタール大会の最終予選は、途中(第6戦)のオマーン戰から呼んでもらいました。先輩方や選手、スタッフの努力がつながって、間違いなく日本代表として戦ってきた成果。今回は僕自身も最終予選の初戦から参加して、貢献できている意識はあるので、前回とは違った実感があります。

 カタールW杯から2年3か月が経ちました。難しいシチュエーションの中で、ドイツとスペインに勝ったという面では色んな人を驚かす大会だったと思います。あの時はW杯のメンバーに入るためにどうやってアピールしようと思っていましたし、サブだったので、流れを変えることだけを考えていました。でも今は本当にたくさんスタメンで出してもらって、結果を出さなければ、あの時よりも言われる立場になっている。そういう自覚は間違いなくあります。

 今は日々、プレミアリーグで戦っていますが、頭の片隅にはあのカタールでの悔しさがあります。色んな選手が悔しい思いをしましたし、自分自身もクロアチア戰のあとは切り替えるのが難しかった。どれだけ成長したとしても、また4年戻ってこないので。やっぱりW杯に出ないと結果を返せない。日常では感じないですけど、ふとした時に代表のことだったり、クロアチア戰で負けたあとの景色を思い出します。

バーレーン戦でも定位置の左サイドでチャンスメイク【写真:徳原隆元】
バーレーン戦でも定位置の左サイドでチャンスメイク【写真:徳原隆元】

「W杯で優勝するために逆算してプレーしている」

 今の日本代表はベスト8に行ける実力もありますし、行く自信もあります。でもそれを大会で出せるかというのはまた違う話ですし、僕たちだけじゃなくて全世界の選手が成長している。最終予選が順調だからこそ、自分たちが優れていると過信は絶対にしてはいけない。まだ僕たちはFIFAランキングで15位ですから。強豪国になっていく過程は踏んでいると思いますけど、ベスト4の常連でもないですし、攻撃も、守備もすべての能力を上げていかないといけないですから。

 今年はブライトンで、サイドから中に入るシーンが増えました。すごい変わっている印象を持たれますが、そんなことはなくて、あくまで試合の中で勝つための判断。(ファビアン・ヒュルツェラー)監督から求められていることでもあります。ドリブルももちろんできますけど、相手がこうしてきた時に対応できるネタが増えて、それが勝利につながればいいと思っています。もちろん日本代表としての役割も違いますし、自分の中で色々考えながら、W杯で優勝するために逆算した中でプレーしています。僕自身はやっぱり、総合的に高い選手を求めているので、いい過程は踏めているかなと思います。

 自分をサッカーと結びつけてくれたのはW杯です。5歳だった2002年の日韓W杯の時は、毎朝W杯の記事が載っている新聞を取りに行くのが楽しみでした。やっぱり全世界が見る大会ですし、アルゼンチンの優勝パレードに何百万人というサポーターが喜んでいたあの光景を見れば、いかに人々の感情を揺さぶるものかが分かります。カタール大会を見て、応援してくれる人が増えたのは間違いないですし、小さい頃は僕も期待をして日本代表を見ていました。期待を背負っている以上、W杯で結果を残さないといけないと思っています。

 僕の理想は小さな子供がプレーを見て、サッカーをやりたいって思ってもらえる選手になること。もちろん子供だけじゃなくて、大人もそうですし、サッカーに興味のない人も、ワンプレーだったり、選手の姿を見て、自分の仕事を頑張ろう、と思ってもらいたい。日常的な励ましになるのが、スポーツのいいところですから。そういう存在になっていきたいと思います。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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