主軸3人が大学卒業前にプロへ タレント流出の陰で…進化を遂げる183cmのお祭り男

筑波大学の池谷銀姿郎(写真左)【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】
筑波大学の池谷銀姿郎(写真左)【写真:FOOTBALL ZONE編集部 】

身体能力の高さと明るいキャラクター…筑波大2年生DF池谷銀姿郎の魅力

 底抜けの明るい性格、そして屈強なフィジカルと豊富な運動量と守備能力の高さ。筑波大学2年生のDF池谷銀姿郎を見ているといつもワクワクさせられる。

 主戦場は右サイドバック(SB)だが、183センチのサイズと対人能力の高さからCB(センターバック)としてもプレーできる池谷は、デンソーカップチャレンジ静岡大会(通称:デンチャレ)にU-20全日本学生選抜の一員として参加。右SBとしてパワフルな攻め上がりと正確なクロス、球際の強さなど持ち味を発揮した。

「去年1年間を通してSBというポジションに手応えを掴んできていて、このままSBでやっていきたいなという思いはあります」

 こう口にするように彼は横浜FCユース時代と大学1年時はCBがメインで、SBは1つのオプションだった。だが、右SBが定位置になってからは確かな成長を実感しているという。

「サイドを90分間アップダウンできる力、クロスにも自信があるので、自分の特徴を最大限で活かせるのがSBだと思っています。この1年を通じて、ビルドアップの関与という面では課題感を覚えていて、ボランチに当てたり、FWに当てたりしてからの関わりや、バランスの取り方はずっと考えながら取り組んできましたし、CBなどのカバーリングも意識するようになって、プレーの幅が広がったと感じています」

 池谷がSBをやる魅力として、自己分析したとおりの部分ともう1つ大きなものがある。それは逆サイドからのクロスにおける対応力の高さだ。彼は大きなサイズだけではなく、踏み込みの仕方に特徴がある。

 基本的に片足踏み込みの選手が多く、ケースとして多いのが利き足で踏み込む選手で、軸足となる逆足で踏み込む選手もいるが、どちらか1つの足に偏ることが大半だ。その中で池谷は左足と右足の踏み込み、両足の踏み込みを状況判断によって使い分けることができる。

 具体的に言うと左からのクロスに対し、利き足の右で踏み込むと前方内側の選手にはヘッドでつなぐことができるが、前方外側の選手やプレーを切るためにタッチラインに向かって弾くにはパワーがボールに伝わらない。

 そこで左の足で踏み込めば反動がついて遠くや外側に飛ばすことができる。逆に左足踏み込みだと、前方内側につなぐ時に正確性を欠く。さらに空中の姿勢や着地後のバランスが一番安定するのは両足踏み込みで、両足で飛ぶことで空中の姿勢が安定してフィジカルコンタクトで勝ちながら弾くことができる。その3つを使い分けられることは非常に珍しく、能力が高いと言っていい。

 実際にその特徴について彼に聞くと、はっきりと答えが返ってきたことが、頭と身体操作を連動させてプレーしている証拠となった。

「おっしゃるとおり、ボール、敵、味方、スペースなどを見ながら、弾く方向と距離を考えて、右左の踏み込みを使い分けています。両足跳びは着地してからも動きやすいので、意識をして取り入れています。僕の運動神経は周りに見て欲しい点であり、武器であるので、これからもその生かし方を工夫しながら伸ばしていきたいです」

 今年、筑波大は新4年生となるDF諏訪間幸成(横浜F・マリノス)、安藤寿岐(サガン鳥栖)、MF加藤玄(名古屋グランパス)の守備の主軸3人が大学卒業を待たずしてプロの世界へと旅立った。それだけにCBも左右のSBもできる池谷は重要な存在となる。

「どのポジションを任されても、チームのために全力でプレーして、全力で盛り立てる。それを絶対にやらないといけないと思っています」

 冒頭で「底抜けに明るい」と表現したのは、筑波大でも「お祭り男」と称されているように、周りを盛り上げて鼓舞できるキャラクターだから。デンチャレでベンチスタートになっても、アップエリアから同じ控え選手やピッチの中の選手に対して、大きな声で盛り上げた。ゴールが入ると全身で喜びを爆発させる。

「これからも変わらないマインドを持って、ピッチ内外で貢献したいと思っています」

 頭はクールに心はホットに。頭脳とフィジカルを兼ね揃えたお祭り男の進化は止まらない。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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