町田で不遇→王者移籍で激変「一晩で語りつくせない」 元J2MVP助っ人が奪った2得点

エリキが湘南戦で2ゴールを決めた【写真:徳原隆元】
エリキが湘南戦で2ゴールを決めた【写真:徳原隆元】

神戸のエリキが初先発で2得点、武藤嘉紀も絶賛「本当に素晴らしい選手」

 2023年のJ2最優秀選手に笑顔が戻った。3月5日、FWエリキはFC町田ゼルビアからヴィッセル神戸へ期限付き移籍することが発表された。そして16日に迎えたJ1第6節の湘南ベルマーレ戦、神戸の一員として初めてJ1で初先発したエリキは、2ゴールを挙げる活躍でチームに今季初勝利をもたらした。

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 圧倒的な活躍だった。1点目は前半24分、左サイドからのセットプレーのこぼれ球を絶妙なポジショニングで右足のボレーシュートでゴールに決めると、続く37分にはFW宮代大聖からのスルーパスを受けて最終ラインを破り、追加点を決めた。2つのゴール以外にも持ち前の推進力を発揮してボールを運ぶ場面が何度もあり、早くも新天地でフィットしている姿を見せた。

 人懐っこい笑顔を見せるエリキだが、町田では出場時間も限られて最近は表情も曇りがちだった。しかし、プレーできる喜びを全身で表現した試合を終えた後には、本来の笑顔が戻っていた。

 見事な連携から自身の持ち味を発揮して挙げた2点目について、エリキは「大聖のクオリティの高さが出たと思います。本当にクオリティが高い選手です。選手のクオリティの高さを言い始めると、このチームは本当にクオリティの高い選手が何人もいるので一晩あっても語りつくせないが、彼らのおかげで生まれたゴールです。攻撃に入る前の守備のオーガナイズも含め、今日の試合はチーム全体で意思統一ができて良い守備ができたからこそ、ああいうカウンターでああいう形になれたと思っています」と、持ち味が発揮できたゴールについてもチームメイトへの感謝を忘れなかった。

 彼の言葉通り、神戸には2023シーズンのJ1MVPのFW大迫勇也、2024シーズンのJ1MVPのFW武藤嘉紀を筆頭に、Jリーグでも屈指の個の力を持つ選手がそろっている。「こんな選手たちが集まるのは稀なことだと思います」と言うエリキは「これだけのメンバーがそろったタイミングでこうしてこのチームの一員としてプレーできることは、自分も非常に嬉しく思っています。しかもこのチームは個々の高いクオリティが、それだけで完結するのではなく、各選手がチームのために、チームでやるべきことを理解してクオリティを出していくことの重要性を理解しているので、非常にポジティブな気持ちですし、今、このチームで充実しています」と、J1連覇中の神戸に身を置く感想を語った。

 チームからも歓迎されている。この日、負傷明けながら右サイドでフル出場した武藤は「今日に関して言えば、左がかなりルーズになっているのはわかっていたので、僕はちょっと下がり気味で、エリキを前にしっかり置いておいてプレーすることがチームとしてもできていました。あれだけ爆発力のあるスピードのある選手で、決めきる力もあると思うので、本当に素晴らしい選手ですし、人間的にも完璧だと思う。最高のチームの一員なので、これからも長くいてほしいし、みんなで良いコンビネーションを築けていけたらと思います」と、エリキについて語った。

 町田では出場時間が短時間にとどまることも多かったが、この日は後半アディショナルタイム2分までピッチに立ち続けた。吉田孝行監督は「攻撃面や前でのプレスではスピードをかなり生かせていました。ミドルから自陣での守備では遅れる部分はあります。戦術的には結構、彼にも話をしていますが、まだそこまで実践する時間も少ないので。それでも彼の体力を見て、(ピッチに)置いておくことでカウンターとかが相手の脅威になるのかなと。もう少し早くバテるかなと思ったんですけど、意外に全然できそうだったので。後半はピッチ(にいる彼と)も近かったので、彼に『行けるか?』と確認しながらいきました」と、出場時間が長くなった理由を明かした。

 町田から期限付き移籍する際にクラブからのリリースでは「私のフィジカルコンディションと技術面は100%の状態であり、サッカーをプレーすることに意欲と幸せを感じています。それが私の情熱です」とコメントしていた言葉を証明するプレーぶりであり、同時に神戸の選手たちと動きを合わせる意味でも長い時間、戦えたことは大きな意味があるだろう。

 AFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)で敗退した直後の一戦で、チームに勝利をもたらした意味は大きい。エリキも「こういう試合をした後は良い雰囲気になる。今後もこの雰囲気を継続していけると思いますし、何より僕はまだ来たばかりなので、チーム、そしてチームメイトたちが楽しく、充実した日々を過ごせるように力になれればと思います」と、自身も大きく貢献した勝利を喜ぶとともに、さらにチームの力になっていくことを誓った。

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