ハーフタイムに激変「殴られてから目を覚ます」 監督の激しい檄…見せた“4つの映像”

東京Vの城福浩監督「『全く準備していなかった』と言われても仕方がない」
東京ヴェルディは3月15日に行われたJ1第6節で名古屋グランパスに2-1で勝利し、今シーズンのホーム初勝利を挙げた。試合後の記者会見で城福浩監督は「ホームで勝てていなかったので、サポーターと一緒に喜びあえたのは本当に良かった」と切り出したが、そこからはチームの課題を口にした。
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「前半、相手が特に中盤のところに非常に激しくくるのは分かっていたのですが……。このチームの課題ではありますが、どうしても受けてしまう。やり合わないというか、このチームの課題が露呈したような前半で、ハーフタイムにそこを修正してピッチに送り出しましたけど、あの後半の頭からの気迫とサッカーを、前半から自分たちがしっかりやれるところを、このチームが表現できれば、もっともっと高いものを目指せる。殴られてから目を覚ますというのは、人が良いというか、ピッチ内のリーダーがいないと言うべきか、そこを育てきれていないのは、自分としても、チームとしても課題だと思います」
さらに前半について城福監督は、「うしろへの選択が極力少なくなるような準備をしてきたつもりなんですけれど、あの前半を見たら『全く準備していなかった』と言われても仕方がない。それくらい私も悔しいし、伝わっていないということは、伝えていないということと同じなので、自分ももっともっと精進しないといけない。ヴェルディが抱える一つの課題だと思います」と話しており、ハーフタイムには2つの喝を入れていた。
一つは文字通り、チームに対して強く要求する喝のこと。もう一つは選手交代だった。前半のうちにキーマンの一人であるMF森田晃樹が負傷していたが、ハーフタイムでも、MF宮原和也を下げてFW山見大登を起用した。結果的に山見は1得点1アシストの活躍を見せたが、城福監督はチームへのメッセージだったと言う。
「前半でも交代枠を一枚使っていたので、4人から5人をゲームチェンジャーとして投入するためには、ハーフタイムでもう一人交えたかった。勝ち点ゼロの状況でハーフタイムを迎えたので、多少攻撃的な交代をしたかった。宮原はハーフタイムで代えるほどの(悪い)パフォーマンスではなかったのですが、交代回数という意味では、ここで一つ使いたかったのが一つ。山見が入ったからではなく、全員に目を覚ましてもらいたかった」と、その意図を説明した。
また、このハーフタイムで指揮官は良いときの自分たちを取り戻すために喝を入れるだけではなく、映像も見せていたという。
「ロジカルなところで言えば、4つのシーンの映像を見せました。それが非常にロジカルだったので。守備のところの我々が何を示すか、攻撃も何が効果的かを見せた。あとは僕が彼らに伝えられるかの勝負なので……お察しください」と、かなり激しい檄を飛ばしていたことを匂わせた。
選手たちによれば、この映像は攻撃のシーンが2つ、守備のシーンが2つだったという。短いハーフタイムで自分たちがどういうプレーをしなければいけないか、どういうプレーを前半にしてしまったのかを、目で確認できたことは大きな意味を持ったといえるだろう。
逆転ゴールを挙げた綱島は「自分たちのリカバリーパワーがどういう風に発揮されているかは、前半の戦いを映像で見て振り返って、自分たちが一番良い時のリカバリーパワーではないことがチームで共有できた」と言い、映像を見たことで「ボール保持者の目線が一つ深いところを見れるようになったし、前線が数的同数だからこそ、深い位置に入れるという共有していたこともうまくいくようになりました。逆に長いボールを使って、セカンドボールを回収することも全員が意識することができて、跳ね返されても2次攻撃につながったと思う」と、後半の45分に本来の自分たちがやるべきプレーができたと語った。
この後半のようなパフォーマンスをスタートから、もしくは前半の途中から見せることが、今後の東京Vの課題だろう。城福監督だけでなく、2試合連続のゴールを挙げた綱島も、逆転勝利を「すごいポジティブに捉えている」と言いつつも「でも、やっぱり悔しい。前半の戦い方はすごいふがいないと思った。そこを自分含めて、チームがどう前半のうちに修正できたのかなと思うと悔しさでいっぱい」と、今シーズンのホーム初勝利に酔うことなく、向上できるポイントを口にした。
昨シーズン、6位と躍進した東京Vだが、逆転で挙げたホーム初勝利で勢いづき、再びJ1で旋風を起こせるか。中断明けの戦いぶりに注目だ。
(河合 拓 / Taku Kawai)