J因縁対決の声に…「何なんだろうと思っていた」 プロで揉まれ芽生えた「倒しにいきたい」

浦和と鹿島の対戦は因縁対決と呼ばれる特別な一戦に【写真:徳原隆元】
浦和と鹿島の対戦は因縁対決と呼ばれる特別な一戦に【写真:徳原隆元】

浦和の主将MF関根貴大、鹿島との因縁対決に宿る思い告白

 今季からJ1浦和レッズの主将を務めるMF関根貴大は3月12日の公開トレーニング後に取材対応。現在首位の鹿島アントラーズと激突する16日の試合に向け、「やればやるだけ、鹿島戦は違う」と、年間で特別な一戦になるカードへの思いを話した。

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 ともに「オリジナル10」と呼ばれる1993年のJリーグ創設メンバーだが、両者には少なからずタイトルを巡る因縁も生まれた。鹿島がJリーグ最初のタイトルである93年のファーストステージ優勝を決めた試合の相手が浦和だったところから始まり、2002年には浦和がクラブ史上初のタイトルへ王手をかけたヤマザキナビスコカップ(当時)の決勝で鹿島が返り討ちにした。しかし、翌年は雨中の決勝で浦和が4-0の大勝で鹿島を撃破して初タイトルを獲得した。

 その03年はリーグ最終節、勝てば優勝の鹿島に対して浦和はアディショナルタイムの同点ゴールで引き分けに持ち込んだ。逆に07年は浦和が勝てばリーグ連覇の第33節で直接対決し、鹿島が勝利して逆転優勝につなげた。2ステージ制が復活したあとの16年チャンピオンシップ決勝や18年天皇杯準決勝での激闘など、際どいところで対戦することの多いカードの1つだ。サポーター同士の関係もまたピリッとしたもので、どちらのホームゲームでもスタジアムの空気感は他のカードと少し違ったものになる。

 浦和の下部組織出身で14年デビューの関根は「僕がプロに入った時は、それこそ記者の方にも(鹿島戦は特別と)言われたりで、何なんだろうと思っていた。でも、実際に長年プレーするとその凄さがより分かるというか、鹿島が浦和に対して、浦和が鹿島に対して、お互いにリスペクトはしていると思うけど、負けたくないという気持ちがピッチ上に現れる」のだと話す。

 こうした思いは、鹿島の選手にもあるようだ。例えば鹿島の下部組織出身FW鈴木優磨は、昨季のアウェー浦和戦でゴールすると「すごく特別なゲームだと僕自身は思っている。(これまで)悔しい思いをしているし、このスタジアムで点を取るのは、どこのスタジアムで点を取るより嬉しい。浦和へのリスペクトもある」と話していた。また、関根によると前所属が鹿島のFW安部裕葵は「鹿島にいる時は浦和を倒すという思いを持っていた」と話していたそうだ。

 このカードは直近3シーズン6試合にわたって引き分けが続いている。その時のチーム状況が必ずしも互角に見えない時でも、このカードはそれを反映しない一進一退の内容になる。関根はその実感について「サッカーの90分のゲームを作るのは選手なので、そういう部分から良いものが生まれると思う。今、鹿島は首位だし、そこに対して自分たちがどれだけできるのかもあるし、自分たちのプライドもあるので順位に関係なく倒しにいきたい」と力を込めた。

 こうしたものは「やっているうちに分かってくるもの」だとして、「浦和に今年入ってきた選手に『鹿島戦だ』と言っても、分からないものは分からないから、何回も試合をして雰囲気を味わうことで分かるものだし、それが歴史になるんだと思う。やればやるだけ、鹿島戦は違うなと思う」と特別な感覚について話していた。

 国内三大タイトルという点で言えば浦和が21年の天皇杯、鹿島が16年のリーグと天皇杯を最後に離れている。鹿島が今季に復活を印象付けようとする立ち上がりで首位に立ち、浦和は前節にようやく初勝利を挙げたタイミングだが、それとは関係なく熱量の大きいバトルが繰り広げられる伝統の一戦になることが期待される。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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