中学校Tシャツで現れ…先輩も「なんだコイツ?」 W杯チケットまで手配、遠藤航の素顔【インタビュー】

菊池大介(左)が遠藤航とのエピソードを回顧【写真:河合拓 & Reuters】
菊池大介(左)が遠藤航とのエピソードを回顧【写真:河合拓 & Reuters】

現在はフットサル選手として活躍する菊池大介が明かす後輩・遠藤航との秘話

 かつて湘南ベルマーレや浦和レッズでプレーした菊池大介は、現在はフットサル選手として湘南のユニフォームを着てプレーしている。湘南の下部組織育ちの菊池は、湘南ユース、湘南のトップチーム、そして浦和レッズと3つのクラブで1個下の日本代表MF遠藤航とチームメイトだった。現在も家族ぐるみの付き合いがある菊池が、リバプールの3番との知られざる秘話を語ってくれた。(取材・文=河合 拓/全4回の2回目)

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 菊池は浦和に在籍していた当時から、遠藤について「もっと上まで行ける選手だ」と公言していた。「リバプールまで行くとは、さすがに思わなかった」と笑うが、中学3年生の遠藤が湘南ユースの練習に参加した際のエピソードも印象に残っているという。

「当時のベルマーレは、航と同じ中学校のGKを獲りたかったんです。そのGKを見に試合に行ったら、航がプレーしていて、スカウトの人はそっちに目が行ったそうなんです。そこから、そのGKと航がベルマーレU-18の練習に参加することになって、地元の中学校のTシャツを着てきたので『なんだコイツ?』みたいな感じだったのが初対面ですね(笑)。そこからベルマーレU-18に加入しましたが、全然スターじゃなかったと思うんです。でも、高校年代から『ピッチ上の結果で示せば、上にはあがれる』と口でも言っていましたし、それを実践していたので『すごいな』と思いましたね」

 そんな遠藤との関係については「後輩ですけど、後輩と思ってないです。向こうも先輩だと思っていないはず」と笑い、「一緒にやっていない期間もありますし、今はもう頻繁に連絡は取っていないですけど、一番付き合いが長い選手。帰国したら一緒にご飯に行ったりしています」と、G大阪FW宇佐美貴史、川崎FW小林悠、大宮FW杉本健勇ら、強烈な個性ある選手たちがいたアンダーカテゴリーの日本代表でもチームメイトだった後輩との関係を語った。

 その関係性の深さは、菊池が遠藤の出場した2022年のカタール・ワールドカップ(W杯)を現地まで見に行ったと言えば、伝わるだろう。菊池はカタールW杯のスペイン戦(2-1)を遠藤にもらったチケットで観戦したのだ。

「カタールには、別に行くつもりはなかったんです。でも、ベルマーレユースの同期に一人、ものすごいサッカー好きなヤツがいて、僕の試合もいっぱい見に来てくれたりしてたんです。僕の年代はみんな仲良くて、今でも毎年みんなで集まって忘年会をしているんです。その時に彼が『W杯に航が出るから、行かない?』って言いだしたんです。彼はヨーロッパのサッカーを普段からすごく見ていて『一緒にやってたやつが中心選手で出るなんて、もうないかもしれない。一緒に行こうよ、大介』と誘ってくれたんです。それで『ちょっと考えるわ。一度、航に連絡してみるわ』と言って連絡したら、航が『来てください! チケットも準備します』と言ってくれたんです」

 当初はカタール行きを全く考えていなかった菊池だが、W杯観戦を断る理由が、さらに減っていく。カタールW杯の期間中、現地の宿泊費は暴騰していた。しかし、この問題も解決してしまったのだ。

「一緒に行くヤツの大学時代の同期が、ドバイに住んでいたんです。ドバイからドーハまでは飛行機で1時間くらいなので、彼の家に泊まれば宿泊費もかからないということになって(笑)。さらに飛行機も僕、マイルで取れたので、もうほとんど何もかからないW杯ツアーになるなと思って、それで『じゃあ、行くかぁ!』となり、カタールに行くことになったんです」

 そうして渡航したカタールで、日本サッカー界にとって伝説となる試合を菊池は現地で目撃した。肝心の遠藤は負傷を抱えていたこともあり、先発出場はできなかったものの勝利の瞬間をピッチ上で迎えた。「めちゃめちゃ良かった。本当にああいう試合を見れて良かったですね。フットサル選手になる直前でしたが、すごく刺激になりましたし『やっぱりいいな、スポーツって』という思いと、プラス『やっぱり悔しいな。ここに立ちたかったな』という思いも、もちろんありましたね。そこにいた航を見て『ああいうやつが行けるんだな』と思いましたね」と、菊池は3年前の試合の感想を語った。

 試合後に菊池は遠藤の変わらない人間性に触れられたことにも、大きな感動を覚えたという。

「航は、リバプールに行って、日本代表のキャプテンにもなって、あれだけのビッグスターにもなっていますけど、人間性は変わらないですよね。それが成功している要因だと思いますよ。それこそカタールの試合を見に行って、スペイン戦が終わったあとなんて、何千件も連絡が来ていると思うんです。でも、すぐに連絡してきてくれて『本当に来てくれてありがとうございました』って言ってくれたんです。

 一緒に行ったヤツもチケットのお礼をしたら、すぐに連絡が来て。なかなかできないですよね。『明日、時間あるならご飯に行きましょう』と言ってくれたんです。残念ながら、食事には行けませんでしたけど。すぐドバイに帰らないと行けなかったので(笑)。でも一緒にいたヤツもビックリしながら『ありがたいね』って言っていました」

 日本代表のキャプテンを務めていた長谷部誠氏や前キャプテンのDF吉田麻也も人格者として知られるが、現森保ジャパンのリーダーも、周囲への気配りを忘れない素晴らしい人間性の持ち主なのだろう。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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