判定に不満も「絆は壊れることはない」 中国から願い…敗退したのに“異例のエール”

横浜FMに敗れた上海海港のマスカット監督「あれだけ強い絆ができたら…」
2023年まで横浜F・マリノスを率いていたケヴィン・マスカット監督は、3月11日に行われたAFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)ラウンド16の第2戦で、中国1部上海海港を率いて日産スタジアムに凱旋した。0-1で敗れた第1戦に続き、第2戦も1-4で敗れたが、試合後には古巣である横浜FMのアジア制覇を願うコメントを残している。
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開始早々の前半2分に自陣でのミスから失点を許した上海海港は、ここから攻勢に出るが決定機をモノにすることができなかった。そして前半29分、中盤でボールを失うとカウンターからFWアンデルソン・ロペスにゴールを許してしまう。
この場面、中盤でのボールの競り合いで横浜FMにファウルがあったものの、主審はボールが上海海港に有利な状況になったとしてアドバンテージを見てプレーを続けさせた。しかし、直後に上海海港はボールを失ってしまう。上海海港の何人かの選手は主審がプレーを止めると判断したのか止まってしまったが、主審はそのままファウルを流し、横浜FMの2点目が決まった。この判定に上海海港の選手たちは猛抗議をしたが、判定は覆らなかった。
初戦を0-1で落としていた上海海港にとって決定的とも言える2失点について、試合後のマスカット監督も嘆いた。「この地で勇敢に、アグレッシブに、高い位置からプレスをかけてプレーしようと話していたのですが、最初の1分で失点をしてしまい、この夜は難しいものとなった。2失点目で、さらにとてもとても難しくなった。主審がアドバンテージをとってプレーを流したが、そのアドバンテージによって、私たちは失点することになった」と不満を口にした。それでも、「選手たちは称えたい。そこから盛り返して点も取ってくれた。だが、早い時間帯の失点でとても難しいゲームになってしまった」と続けた。
横浜FMを率いて2022年のJ1優勝を成し遂げ、翌シーズンには2位となり、今大会の出場権をもたらしたマスカット監督は、敗退決定後に古巣への思いも語った。「ACLは横浜FMにとって、唯一の獲得していないタイトルだ。昨シーズン、決勝まで勝ち進んだとき、クラブに携わるすべての人たちが勝ってほしいと思っていただろう。私も遠くからマリノスを応援し、勝ってほしいと思っていた。残念ながら優勝はできなかったが、まだ今シーズンはチャンスがある。今日の試合はすでに終わったから言うが、サッカーチームを率いてタイトルを獲得することほど特別なことはない。一つのクラブで仕事をして、いろんなことを培い、あれだけ強い絆ができたら、その絆は壊れることはない。幸運を祈っているし、成功してほしい」と、2大会連続での8強進出を決めた横浜FMへエールを送った。
(河合 拓 / Taku Kawai)