海外行き“待ったなし”の逸材11選 今夏の欧州進出も可能…185cm大型ボランチに“出世の予感”【コラム】

海外移籍の高い11人をピックアップ【画像:FOOTBALL ZONE編集部 】
海外移籍の高い11人をピックアップ【画像:FOOTBALL ZONE編集部 】

海外行き“待ったなしの逸材”をベストイレブン形式で選出

 J1リーグはシーズン開幕から間もなく1か月を迎える。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)へ参戦する4チーム(ヴィッセル神戸、横浜F・マリノス、川崎フロンターレ、サンフレッチェ広島)以外は5試合を消化したなかで、インパクトを残している逸材の姿も。彼らにはJリーグを盛り上げて欲しい思いもありつつ、今回は割り切って海外行き“待ったなしの逸材”をベストイレブン形式で選出した。なお過去にJリーグから海外移籍した経験のある相馬勇紀(FC町田ゼルビア)や田中聡(サンフレッチェ広島)は対象外とした。(文=河治良幸)

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 GKはパリ五輪のメンバーでもあった野澤大志ブランドン(FC東京)が、存在感や総合的なゴールキーピングのレベルを考えると一番手か。日本代表の大迫敬介(サンフレッチェ広島)やすでに欧州を経験している谷晃生(FC町田ゼルビア)など実力者は多いが、海外からのニーズという基準で言えば野澤のサイズや身体能力は魅力だろう。ポテンシャルとしてはU-20日本代表の荒木琉偉(ガンバ大阪)も面白いが、今回は“海外行き待ったなし”ということで、基本Jリーグの試合に出ている選手を基準に選考したので“未来枠”に留めておく。

 最終ラインは濃野公人(鹿島アントラーズ)、高井幸大(川崎フロンターレ)、稲村隼翔(アルビレックス新潟)、畑大雅(湘南ベルマーレ)の4人を選んだ。右サイドバックはこれまで何度か欧州移籍の噂が出た半田陸(ガンバ大阪)も有力だが、2024年のベスト11でもある濃野は抜群の機動力と独特の嗅覚で、ゴール前にも関われるサイドバックということで、欧州を舞台にしても面白い存在だ。昨年は終盤に負傷離脱してしまったが、基本タフなところも強みだろう。まだ“海外行き待ったなし”ではないが、初挑戦のJ1で躍動している高木践(清水エスパルス)の急成長ぶりも注視したい。

 高井は持ち前のビルドアップに加えて、守備面でも存在感が際立っており、危ないシーンを難なく切り抜ける対応力は目を見張る。ACLエリートの上海申花戦ではオウンゴールで失点してしまったが、若手選手の中では1つ飛び抜けた存在だ。稲村に関しては特別指定選手だった昨年から、すでにJ1でも高水準の守備力、攻撃面の貢献を見せており、大卒ルーキーと言っても現在の活躍に驚きはない。ただ、樹森大介新監督が率いる新潟ではもはや欠かせない選手であるだけに、仮に前半戦の活躍が評価されて海外から好オファーが届いても、夏の移籍というのはクラブとしては考えたくないだろう。

 畑は昨シーズン怪我などもありながら、大きな成長を見せて新シーズンに臨んでおり、湘南のロケットスタートを力強く支える。スピードがあり、177センチというサイズに増して空中戦にも強い。課題だった攻撃のクオリティーもかなり改善されてきており、ここまで4試合でアシストはないが、現在のパフォーマンスを持続すれば数字も付いてくるはず。少し先を見るならFCバルセロナ育ちの髙橋仁胡(セレッソ大阪)は海外行きの候補として外せないが、まずはセレッソで主力を掴みながら、9月のU-20ワールドカップ(W杯)で大いにアピールしてもらいたい。

ポテンシャル十分の中村草太【写真:徳原隆元】
ポテンシャル十分の中村草太【写真:徳原隆元】

プロ1年目での二桁ゴールの可能性も…ルーキー中村草太のポテンシャルは十分

 中盤はやはりタレントが多い中で熊坂光希(柏レイソル)、中島洋太朗(サンフレッチェ広島)、北野颯太(セレッソ大阪)の3人を選んだ。185センチの熊坂は貴重な大型ボランチで、大卒2年目の今季は6番的な役割をこなしながら、正確なパスで攻撃の起点としてもハイレベルの働きができる。18歳の中島はポジショニングがロジカルでありながら、ボールを持った時に意外性を発揮できる稀有なタレントで、イタリア風に言えばレジスタとファンタジスタの要素を併せ持っている。急げば夏にでも欧州進出は可能なはずだが、9月にはU-20W杯も控えているだけに、世界基準を知るミヒャエル・スキッベ監督が率いる広島で土台を作りながら、シーズン通して優勝争いを経験してからでも遅くないだろう。

 中島と同じU-20日本代表では佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)も遜色ないタレントだが、ここからポジションを確保し、主力としてJ1初挑戦のクラブを引っ張っていけるかに、まずは注目したい。北野は開幕戦の大阪ダービーで2得点の大活躍を見せただけでなく、今季3点目を挙げた柏戦では7本のシュートを記録するなど、持ち前の攻撃センスに積極性が伴い、エース級の存在になってきている。大先輩の香川真司も今シーズンのブレイクに太鼓判を押すが、課題であるパフォーマンスの持続性が問われるのはここからだ。

 前線は鈴木章斗(湘南ベルマーレ)、山田新(川崎フロンターレ)、中村草太(サンフレッチェ広島)の3トップに。特に誰が中央で誰がウイングという基準はないが、よりセンターフォワードとしての特性が強い鈴木を中央にさせてもらった。山田は昨シーズン19得点と大暴れしたが、長谷部茂利監督に代わり、守備面のタスクと向き合いながらゴール前の得点力を発揮することを求められる。そこを当たり前に打破できれば、代表や海外での道も見えてくる。

 鈴木は第100回全国高校サッカー選手権の得点王で、現在21歳という若さでキャプテン&エースとして湘南の躍進を牽引する。本格派のストライカーだが、山口智監督に与えられた守備面と攻撃面を幅広くこなしながら、大事なところでボックス内にいるというスタイルで、日本代表の森保一監督が求めるFW像とも一致する。昨年10得点で、今年もゴール量産となれば海外クラブが放っておくはずはないが、責任感の強い選手だけに、好オファーが届いた時にどういう決断をするか。

 大卒ルーキーの中村は開幕3試合で途中出場、第4節の横浜FC戦で初めてスタメン起用されたが、決勝点のシーンを含めて抜群の機動力と運動量、ボール局面のクオリティーを見せている。このまま順調にいけば、プロ1年目での二桁ゴール、さらに言えばE-1選手権で代表入りしてもおかしくない。168センチというサイズを海外クラブがFWとしてどう評価するかは未知数だが、ボディーバランスの高さを考えても、国際的な活躍ができる素地はあると見る。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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