W杯は過酷な移動、強行日程が課題 協会が進める“強化プラン”「バックアップ体制重要」【独占インタビュー】

宮本恒靖会長がW杯に向けた強化プランを話した【写真:山口 培】
宮本恒靖会長がW杯に向けた強化プランを話した【写真:山口 培】

宮本会長と共に考える日本サッカーの「未来」

 来年、10年後、100年後……日本サッカーが辿る未来図とは――。トップをひた走る日本サッカー協会(JFA)のトップ宮本恒靖会長が「今」と「これから」を語る。新たなコンセプト「日本サッカーの未来を考える」を据える「FOOTBALL ZONE」が独占インタビューで会長の考えに迫る。

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 森保一監督率いる日本代表が躍進を遂げるなど日本サッカーはレベル向上を図る一方で、育成世代の環境整備、Jリーグと女子サッカーの発展、欧州への人材流出……課題は山積み。Jリーグ創設から30年超、進化を遂げたその目で見てきた宮本会長。過去、現在、未来に視点を向け、サッカーを愛するすべての人々と共に設計図を描く。第3回は「A代表の強化プラン」について。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 次なる世界への舞台まで残り1年3か月。史上初のベスト8入り、そして世界一を目指す北中米W杯が待ち受ける。森保一監督率いる日本代表は最終予選で5勝1分の無敗、3月の最終予選バーレーン戦で早くも切符を獲得できる可能性がある。8大会連続となるW杯出場権を得てからは本大会に向けて強豪を倒すための強化を進めていかなければならない。

 宮本会長は「9月のウィンドウ、10月、11月のところは重要になるし、その次の来年3月というところはできるだけ強いチームとやるということ。そのマッチメイクをしていくのが次のフェーズですね」と、見据える。

 アメリカ・カナダ・メキシコの3か国共催となる次大会。前回のカタール大会はドーハでの集中開催で開催都市の移動がなかった。ロシア大会ではベースキャンプ地のカザンからは決勝トーナメント1回戦が行われたロストフ・ナ・ドヌまで約1500km。やはりコンディションの維持は1つのカギとなった。

 北中米大会も過酷な移動が予想される。カナダ2都市、アメリカ11都市、メキシコ3都市。例えばカナダと同組になればトロント→ロサンゼルス→シアトル、計約3600kmの移動を強いられるだけでなく、時差も3時間発生する。宮本会長も懸念する。

北中米W杯は過酷な移動

「カタールとは違う。カタールは移動の負担が少なかったし、だからこそあれだけレベルの高い大会になった。時差と、湿度の高いところと低いところ。アメリカでの移動がどうとか、もうちょっと精査しないといけない。去年から現地に視察のためにスタッフも派遣しているし、今から考えられるケースを想定して技術部が準備している。」

 移動の過酷さはある程度予想できていたこと。これを乗り越えるために、森保監督は「2チーム分の戦力」をテーマに掲げてきた。北中米W杯は上に進もうと思えば、試合数とともに移動距離もこれまでの大会よりも格段に増える。強行日程をこなすためには絶対命題だと宮本会長も考える。

「現場の考えもあるけれども、W杯で上に行くということを考えたときに選手層を更に厚くしていかなければならない。森保さんが進めている2チーム分の層というところをもっと成熟させること。そのためのバックアップ体制は重要」

 強化を図るためには、最終予選を戦ったメンバーに加えてパリ五輪世代、ロス五輪世代からの突き上げが必要。現在は27人を招集して4人がベンチ外となっている。パリ五輪世代の出番を掴めていないMF藤田譲瑠チマやDF関根大輝らは日々奮闘していることだろう。

「やっぱり若い世代が入ってくるのは望ましい。もちろんそれは実力の世界であるし、本当にレベルの高いA代表に食い込んでいけるか。譲瑠や関根も引き続きその悔しさを持ってやってもらいたいなと思っています」

 協会も一体となってA代表の結果を掴みに行く。「現場からの要求も応えられるところには応えていきたいなと思っていますし、その姿勢は変わらない」。W杯後、協会の“強化プラン”が実ったかどうか、成果を心待ちにしたい。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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