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初のJクラブ誕生へ熱気 観客数史上最多5000人超え、J3昇格は「希望とかではない」

JFLのレイラック滋賀、悲願のJ3入りへ白星スタート
JFLのレイラック滋賀が、悲願のJ3入りへ白星スタートを切った。滋賀は3月9日、ホームの平和堂HATOスタジアムでアトレチコ鈴鹿と対戦。前半1-2とリードを許したが、後半の連続得点で4-2と逆転勝ちした。観客数5158人は、前身のMIOびわ湖滋賀時代を含めてクラブ史上最多。大声援に後押しされて、Jリーグに向けて発進した。
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開幕戦の緊張からか、前半は動きが悪かった。立ち上がり3分に失点すると、新加入MF人見拓哉のゴールで一度は追いついたものの、前半終了間際にミスから失点。京都サンガF.C.やベガルタ仙台などで活躍した元Jリーガーの角田誠監督は「ハーフタイムにカツを入れました。それで目を覚ましてくれた」
後半16分には昨年鈴鹿から移籍したFW三宅海斗が同点ゴール。その後も攻撃の手を緩めず、交代出場したMF竜田柊士、FW森本ヒマンが連続得点して突き放した。「前半想定外の2失点はあったけれど、後半はよかった。めちゃくちゃ疲れました」と角田監督は振り返った。
23年に長く続いた「MIOびわ湖」から名称を変更。スペイン語で「キング」を表す「レイ」とフランス語で「湖」の「ラック」から「レイラック」として再スタートを切った。びわ湖{レイク」のパワーで幸運「ラック」を掴むという意味もあるという。
「滋賀県初のJクラブへ」と立てた3年計画は、今年が最終年。オフには清水で活躍し、16年リオデジャネイロ五輪にも出場したGK櫛引政敏をJ2群馬から、神戸でもプレーしたDF藤谷壮がJ3松本から獲得するなどJ1経験者を含めて10人が新たに加わった。クラブの「本気」に角田監督は「言い訳はできない。J3昇格は希望とかではなく、ミッション」と強い決意で話した。
この試合には、彦根市の和田裕行市長や地域政党「再生の道」代表の石丸伸二氏らもユニホーム姿で登場し、ハーフタイムのトークショーでは行政と市民が一体となってクラブを支えることの重要性を強調。また、47都道府県を歴訪中の日本サッカー協会・宮本恒靖会長も視察のために訪れた。
5000人超の観衆がスタンドを埋め、ゴール裏ではサポーターのチャントが90分間鳴り響いた。角田監督は「多くのサポーターのおかげ」とチームを逆転勝利に導いた最高の雰囲気に感謝した。
J3から降格したいわてグルージャ盛岡とY.S.C.C.横浜を含め、参加16チームのほとんどがJリーグ入りを目指す今季のJFL。拮抗した実力を表すように、第1節で2点差勝利を手にしたのは滋賀とクリアソン新宿(2-0・対FCマルヤス岡崎)だけ。1試合が終わっただけとはいえ、総得点で上回った滋賀は幸先のいい首位スタートとなった。
30年でJ3まで60クラブになったJリーグ。全国にJクラブができ、いまだに誕生していないのは滋賀、三重、福井、和歌山、島根の5県だけになった。「簡単な試合は今後もないと思うけれど、J3昇格という目標をぶらさずに戦っていきたい」。スタンドの盛り上がりをバックに、角田監督は力強く言い切った。
(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)
荻島弘一
おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。