イングランドで選手と対話「君のこと見てたよ」 初の欧州観戦で衝撃サプライズの連続【インタビュー】

現地でのノッティンガム・フォレスト応援を実現させたTAKU氏【写真:ノッティンガム・フォレスト提供】
現地でのノッティンガム・フォレスト応援を実現させたTAKU氏【写真:ノッティンガム・フォレスト提供】

TAKU氏がスタジアムツアー、選手交流、クラブソングと英国現地で驚きの連続

 イングランド1部ノッティンガム・フォレストのホームスタジアム「シティ・グラウンド」を初めて訪れたTAKU(たく)氏は、現地ファンの粋なSNS反響を受け大きなサプライズを受けることになる。街や人の温かさ、大興奮のピッチサイドに至るまで実際に体験した経験を振り返ってもらった。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也/全4回の2回目)

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 約10年間フォレストを応援し続けるTAKU氏は、現地時間2024年11月30日のプレミアリーグ第13節イプスウィッチ戦のチケットを試合5日前に入手することに成功する。1か月、何百回ものリセールサイトへのアクセスし探し続け、ようやく手に入ったのは現地で移動中のバス車内だった。

 このことを自身のX(旧ツイッター)で英語の文章で報告すると、現地ファンからの思わぬ反響を呼ぶ。次第にその輪が広がっていき、ついにクラブ関係者からDM(ダイレクトメール)がTAKU氏の元に寄せられた。

「半信半疑」のまま、試合当日の10時半にスタジアムへ。ゲーム開始は15時キックオフだったが、その約4時間半前だった。何をするかまったく聞かされていなかったTAKU氏。クラブ広報とDMを送った責任者が待っており、「色々サプライズするから、公式YouTubeチャンネルも含め、その様子を撮らせてくれ」と頼まれた。

 英語は「馬鹿にされるくらいできない」と明かすTAKU氏。クラブ関係者との意思疎通も、たまたま会う予定だった、現地にいる日本人のノッティンガムファンの1人に協力してもらった。1つ目のサプライズはスタジアムツアー。「本当に歴史が詰まっていて、チャンピオンズリーグのトロフィーもありました」。通訳を介して色々話をしたが、「やはりダイレクトに聞けるわけじゃなかったので、そこは英語を知っておきたかったと少し思いましたね」と現地で語学の重要さも改めて感じた。

実際に選手と1対1で対話「君のことXで見てたよ」

 そして今度は「選手に会わせたい」と言葉をもらった。選手たちは試合の4時間前にはスタジアムに一度来るという。TAKU氏は驚きながらも、次々と到着する選手たちと実際に話し、“念のため”用意していたフォレストの大きな旗にサインをもらうなど有意義な時間を満喫した。

「一番印象的だったのは、リバプールから(2022年に)移籍してきたニコ(・ウィリアムズ)。よくみんなネコって言いますが、実際はニコって発音するらしいですね。『君のことXで見てたよ』と言ってくれたのを今でも覚えています。びっくりしましたね」

 ブラジル代表にも呼ばれたDFムリージョには「日本のファンは君がブラジル代表に選ばれてすごく喜んでいる」ということをTAKU氏が伝えたという。「あとは興奮していたので(苦笑)。次から次へと選手が来るので、サイン貰うだけでも精一杯でした」と、当時の昂っていた感情を思い起こしてくれた。

 別室でクラブ公式YouTubeチャンネルに載せるインタビューの撮影を挟むと、その後「また試合前に戻ってきてくれ」と伝えられる。その際に試合前にサポーターが熱唱する『MULL OF KINTYRE』を聞く姿を撮りたいという打診を受けた。その光景が、のちにSNS上で大きな話題となったTAKU氏の映像となる。

MULL OF KINTYREを聞きピッチで涙する姿が大きな話題に…その背景とは

 TAKU氏の取った座席はスタジアムの2階席。その様子を撮るにも「ちょっと見づらいよね」という話になった。そこで初めて「ピッチサイドから撮影しようか」という案がクラブ側から出たのだという。「たまたま2階の席で良かったなと思いましたね」と笑顔も見せたTAKU氏。選手入場5分前にピッチサイドに入り、感動の瞬間を迎えた。

「冗談抜きで、当日ロンドンから出発する前から僕は泣き始めていたんですよ。電車の中でも、MULL OF KINTYREを聞いていて、いざ生で聞けると思うとやっぱなんかこう感極まるというか。

 元々自身の体験を伝えるためにイギリスに行ったのもあったのですが、本当にその空気とか、とにかくその瞬間を楽しもうという気持ちでした。こんなことって人生で起こるんだっていうところに感動して……。日本人であのサプライズを受けた人って、中々いないと思います。まさにサプライズでしたね」

 試合の前には、スタジアム近くのパブで現地のファンと交流した。ポッドキャストで出会った人もいれば、その場でTAKU氏を見て声をかけてくれるファンも。TAKU氏のSNS投稿が拡散されていたからこそ、生まれた楽しい時間。クラブから大きなサプライズを受け、涙も目に浮かべた背景には、さまざまな人たちの心意気が積み重なっていた。

[プロフィール]
TAKU(たく)/1996年生まれ。Jリーグの生観戦を入り口に、海外サッカーにも強い関心を抱く。高校時代にサッカーゲームでイングランドのノッティンガム・フォレストと出会い、以降10年間追いかけ続けている。2024年に初めて現地に訪れ、SNS投稿がきっかけでクラブがサプライズを用意、その様子はクラブの公式YouTubeでも取り上げられ世界中で反響を呼んだ。現在はノッティンガム・フォレストを中心に、海外サッカーの情報を発信しながら、新たに現地観戦コンテンツを制作中。

(FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也 / Kenya Kaneko)



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