膝の大怪我から復帰…「ここまで戻ってきたんだ」 会場向かう道中で感慨、W杯戦士遂げた復活劇

浦和レディースのMF猶本光が左膝の怪我を経てリーグ戦復帰果たす
三菱重工浦和レッズレディースのMF猶本光は、3月3日のWEリーグ再開初戦のジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦にスタメン出場。昨年1月の左膝前十字靭帯損傷から手術とリハビリを経て、初のリーグ戦への復帰になった。自身の誕生日に行われたゲームを2-0の勝利で飾りアシストも記録したが「これでゴールしてたら、持ってましたね」と微笑んだ。
【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから
31歳の猶本は浦和の中心選手として活躍して22-23シーズンのリーグ優勝に大きく貢献。なでしこジャパン(日本女子代表)の一員としても、23年の女子ワールドカップ(W杯)のコスタリカ戦で強烈な左足シュートを決めるなど活躍した。しかし、24年1月の皇后杯のゲームで重傷を負い、パリ五輪への出場も棒に振った。
すでに今年1月の皇后杯、浦和が優勝を果たした大会の準決勝と決勝の途中出場で復帰していたが、改めてリーグ戦でスタメンに復帰。ホームの浦和駒場スタジアムでの出場も24年1月7日以来だった。そのゲームへの道中、試合を観戦するために単独行動で訪れる際の自家用車ではなく、チームメイトと選手バスに乗ってスタジアム入りする際に「ここまで戻ってきたんだな」という感慨があったという。
試合に入れば全く不安のないプレーを見せた。後半39分には左サイドの深い位置で鋭いドリブル突破を見せ、DF後藤若葉のWEリーグ初ゴールをアシスト。試合後に場内でインタビューを受けると、サポーターから誕生日の祝福も受け声援に応えていた。
復帰の過程を見守ってきた楠瀬直木監督は「慎重かつ、復活した時は100%で出られるという考えで来てくれている。普通なら徐々に入っていくが、身体のほかの部分は前以上に回復してきて、いつでもできると。あとは膝の状態待ちとなってやってくれた」と話す。「僕からするともう少し早く部分合流してくれるとコンビネーションやチームの雰囲気も良いけど」と笑ったが、「いい意味で頑固で、あの怪我ばかりはこちらから強制できないし、アスリートとして長年やってきた分、自分のフィット感が大切」と、無理をさせることなく復帰までの道を歩んだ。
猶本自身は、1月の皇后杯で復帰したあとに「このあとは少し時間が空いて、合宿もあるので状態はもっと上げられると思う」と話していた。そして、実際に浦和が沖縄県で行ったキャンプも経て「この期間で膝の調子も上がりそれに伴ってできるプレーの幅も広がって、もっともっと、という気持ちもあるけど欲を出さずに今できることを丁寧にやっています。1対1のプレーでも自信を持てたのは、リハビリでフィジカルコーチとも1対1をバチバチやってきたから自信を持てたかなと思います」と、手応えは確かなもののようだ。
これまで練習試合などでも最長45分のプレーで「前半だけか後半の頭だけかと思った」(楠瀬監督)という予定だったが「バースデーゴールを取れそうなので代えたら怒られるかな」と結果的には試合終盤までプレー。誕生日にホームゲームでリーグ戦に復帰という巡り合わせの中で、実際に惜しいシュートもあっただけに「これでゴールしてたら、持ってましたね」と笑った。これには指揮官も「試合勘も問題は感じなかった。そこに持ってくる力があると感心した」と話した。
3月は浦和にとってリーグ戦の上位対決もあり、女子AFCチャンピオンズリーグ(AWCL)の準々決勝もある勝負どころ。復帰してきた猶本の存在は、リーグ3連覇とアジア制覇に向け大きな力になりそうだ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)