W杯切符かかった“強心臓PK” 逸材18歳が明かした「表向きの理由」と「本当の理由」

アジアカップでPKキッカーを担当した佐藤龍之介【写真:(C) AFC】
アジアカップでPKキッカーを担当した佐藤龍之介【写真:(C) AFC】

岡山に戻ってきたU-20日本代表MF佐藤龍之介が語ったアジアでの戦い

 J1ファジアーノ岡山のU-20日本代表MF佐藤龍之介が世界へ導いたPKの“裏側”を明かした。2月のU-20アジアカップで主力として4試合に出場。U-20ワールドカップ(W杯)切符が懸かった準々決勝イラン戦ではPK戦でど真ん中に蹴って成功させた。絶対に失敗できない状況で驚異のメンタルを発揮した佐藤は「表向きの理由」と「本音」を明かした。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 帰国した佐藤は一回りたくましく成長したように見えた。過酷なアジアでの戦いを終えて、世界への挑戦権を得た。佐藤は5試合中4試合に先発出場して1ゴールをマーク。3試合でフル出場と主力として大きな活躍を遂げた。

 顕著だったのが、出場権を懸けて戦ったイラン戦。延長戦を戦い抜き、試合はPK戦へともつれた。先攻イランは1人目、2人目が外す。連続で日本は成功させた3人目、相手は決めて日本が相手GKに止められた。4人目、相手は成功。順番は佐藤に回ってきた。

 ここで外せば振り出しに戻る。のしかかる重圧を物ともせずに佐藤が蹴りこんだコースは中央だった。

「結構冷静に分析できていたので真ん中に蹴った……というのは表向きな理由で、正直左蹴ったら取られそうだなと思ったので、相手GKもいい反応だった。確実にあの状況だと跳ぶと思ったので真ん中に蹴りました」

 自身のなかでも駆け引きがあり、自問自答した結果、コースを決めるに至ったという。ただこの試合、佐藤自身は「特別な一戦でそこに対する責任もあった。でも僕の頭の片隅にはなくて、この試合を楽しみたい、どうやって取るかということだけを考えてプレーしていた」と言うから驚きだ。4大会連続の出場権ではなく、目の前の相手に向き合った。

 今大会のメンバーはMF中島洋太朗やDF市原吏音、MF石井久継らJ経験も豊富な選手が入っていた。ここから開幕したJリーグでどんなプレーを見せるのか周囲の目も変わってくるが、2006年生まれの18歳は「10代が試合に出ているからといって、いちいち注目されているようじゃダメ。これが当たり前だと周りから思われていくような世界になっていかないといけない」と力強く話した。今季から岡山へ加入した佐藤。好調を維持するチームでもその強い“気持ち”を見せてくれるはずだ。

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